イギリス「ワクチン開始2カ月」でわかったこと 医療従事者が見た現場や接種者の混乱と喜び

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その晩遅くからさらに翌日昼までは頭痛は消え、体調は回復したかと思ったが、また午後から悪寒と頭痛に襲われた。この時には迷わずにすぐに鎮痛剤を服用して横に。副反応はワクチン接種から丸2日間、断続的に続いたが鎮痛剤を服用することで症状は抑えられた。3日目は通常の生活に戻ることができた。今振り返っても、痛みを感じたら我慢せずにすぐに鎮痛剤を服用すれば、そこまで苦しむことはなかったと思う。

大量のワクチン接種を進めていくうえで、欠かせないのがスタッフだ。2020年11月の時点でワクチン接種の医療従事者の募集をかなり見かけるようになった。特に定年退職をした医師、看護師には積極的に声がかかった。

臨床から遠ざかっていた彼らには特別な訓練プログラムが組まれている。また現役の医療従事者であってもワクチンを接種する場合には国から事前研修プログラムを受けることを言い渡されている。

この研修には、ワクチンの保存の仕方や、患者への副作用と対処法の説明、実際の技術、万が一に備えてのアナフィラキシーショック対応や急変対応なども組み込まれている。

ワクチンは「希望のカギ」と見る人少なくない

イギリスでは、2020年3月下旬から全土でロックダウンが始まり、現在3回目のロックダウンの最中だ。筆者には学校に通う子どもが2人いるのだが、この1年間で学校に普通に通えたのは9月から12月までの4カ月弱。大学生などは親元を離れて大学の寮に入寮しているのに、授業はオンラインがほとんどだ。

一方、高齢者の多くはこの1年間、断続的に自宅隔離をしている。お茶会やジムの体操クラス、週末の家族や親戚との食事、夏の旅行など、何十年も習慣化されてきた生活が突然なくなり、孤立した生活が続いてきた。

先が見えない毎日に皆が鬱々とした気分になっている。ワクチンはそんな生活に終わりを告げる、希望のカギと見る人は少なくない。イギリスでワクチン接種率が高いのは副反応への不安よりも、「消えてしまった普通の日常」を渇望する思いのほうが圧倒的に強いからだろう。

ピネガー 由紀 イギリス正看護師、フリーランス医療通訳

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Yuki Pineger

日本での看護師免許や勉強経験はなくイギリス義務教育(GCSE)、高等教育A-levelを経てマンチェスター大学看護学部卒業。現在は、イギリス中部に在住してNHSの大学病院に勤務。通常は外科部門に所属して手術前後の患者看護に当たる傍ら、学生指導も担当している(2020年4月から新型コロナ感染病棟に期間未定で異動中)。

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