イギリス「ワクチン開始2カ月」でわかったこと 医療従事者が見た現場や接種者の混乱と喜び

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この優先上位4グループのワクチン1回目の接種を2月半ばまでに、そしてすべての50代以上の人のワクチン1回目を5月までに、との目標が設定された。この目標を達成するべく、ワクチンは予定を前倒しで次々に出荷されていった。ここへアストラゼネカのワクチンも新たに加わり、そのスピードはさらに増す。

しかし、ワクチンを受け取る医療機関側は、1月は悲鳴を上げる事態となった。

「ワクチン配送されます」という突然の告知

「ワクチンの予約ができると診療所から連絡がきたけれど、それが翌々日と言われたんだ。近所に住む娘夫婦に車での送迎をお願いしたら、急に言われても仕事の休みの調整が大変だ!と怒られたよ」ワクチンの会場で順番待ちの高齢者が、マスク越しにこんな会話を交わしている。

国はスケジュール前倒しでワクチンを大量に出荷をしているが、その日程は配達直前まで医療機関側に知らされない。突然、短い告知で「お宅の診療所にx百本のワクチンが配送されます」と連絡が来る。

ファイザーのワクチンは医療機関では冷蔵庫温度で摂氏2〜8度で保存し、医療機関に到着してから5日以内に使用しなければならない。つまり医療機関側は、短期間にワクチン分の患者の予約を入れなければならないのだ。こうした事態が各地で起こった。

したがって患者側も「3日後に」「明日」などでワクチン接種の連絡を受ける。幸いロックダウン中で高齢者はほぼ家にいるから、多くの人が短期間での連絡でも、予約を受け入れられているようだ。

連絡は携帯メッセージと電話が使われる。携帯メッセージの場合には予約リンクのURLが貼ってあり、そこから予約を入れるようにと言われる。ただ、高齢者の患者の場合には電話で予約を希望することが多い。

なお、筆者は勤務先の病院で接種をしたので、勤務用のメールアドレスに予約のURLが貼ってあり、そこから予約を入れた。予約を入れる時にウェブ上で問診の記入、副反応やその対処法の説明書がある。

最終ページで「以上の注意点をすべて読み、理解をしたうえで同意します」というチェックボックスにチェックを入れることで、予約が完了をする。私の病院では、これが「同意書」とみなされたが、ほかの医療機関ではワクチンの会場で手書きの同意書を求める場合もある。

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