休業中の従業員に対して休業手当を支払った場合の助成率は従来、80%程度だった。それが、コロナ対策の特例措置として、中小企業についてはほぼ100%に引き上げられた。
また、1人1日当たりの助成金の上限額も8370円から1万5000円に上がった。さらに、パートやアルバイトなど短時間労働者も対象にした。
大ざっぱに言えば、特例によって支給額がほぼ2倍になったのだ。休業者に対して極めて手厚い保護が与えられたことになる。
日本では法律的に解雇は簡単でないから、これだけの支援が受けられるのなら、雇用側としては、あえて解雇せずに雇用調整助成金を申請するほうに傾く。
また、従業員の立場から見ても、失業手当(離職前の給与の5〜8割)よりは多額の金額を受け取れる。
休業者のほとんどが雇用助成金で支えられている
こうして、休業者のほとんどが雇用調整助成金で支えられることになった(注)。
これは一時的な措置だとされ、当初は昨年の6月末までとされていた。しかし、その後、9月末まで延長になり、さらに12月末までに延長された。そして、今年2月末になり、3月末になり、さらに4月末にまで延長された。
他方、厚生労働省が昨年11月に発表した「雇用調整助成金等の利用割合推計」によると、雇用調整助成金の支給人日数(延べ数)を雇用者数で割った値は、宿泊業、飲食サービス業で5.58%だ(2020年5~8月平均)。
また、労働力調査で見ると、このころの宿泊業、飲食サービス業休業者は23万人だ。これは、同部門の雇用者335万人の6.9%に当たる。
したがって、この部門では、休業者のうち約8割(=5.58÷6.9)が雇用調整助成金でカバーされていると考えることができる。
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