日本製鉄が東京製綱に振り上げた「拳」の威力 株式を買い増して「会長は退け」と詰め寄る

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ただし、日本製鉄の指摘にあるように東京製綱の業績が低迷していることは事実だ。2020年3月期までの5カ年の経営計画では、売上高900億円、営業利益78億円を掲げたが、実際には売上高630億円、営業利益は3億円と大幅に未達だった。しかも、最終利益は24億円の赤字である。

そうした中、田中会長は約20年も代表取締役に居続けている。2010年に田中氏が会長に就いて以降、現在の浅野正也氏で4人目の社長である。「ガバナンス体制の機能不全、とりわけ、社外取締役の経営陣に対する評価や、指名・再任のプロセスが適切に機能していない」(日本製鉄)という指摘は当てはまる。

日本製鉄も4000億円超の赤字

東京製綱を批判する日本製鉄の業況はどうなのか。2018年3月期までの3カ年の中期経営計画で掲げたROE10%の目標は6%台にとどまった。2021年3月期までの3カ年中計はコロナ禍もあって達成は不可能だ。2020年3月期には4315億円の最終赤字を計上しており、2021年3月期も1200億円の連続での最終赤字を見込んでいる。

こうした状況について、日本製鉄の役員は、「2020年3月期は大赤字だったが、減損して構造改革をしている。コロナがなければ今年度から黒字になっていた。東京製綱と同じにはされたくない。大事なのはガバナンスを利かせているか。(東京製綱は)20年以上経営が変わっておらず、結果も出ていない」と主張する

いずれにしても、他社に対して株主として経営改善を厳しく要求する以上、今後は自分たちの経営について厳しく責任を問われることになるのは間違いない。

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