携帯電話の「SIMロック」解除、NTTドコモに有利との観測は本当か?
総務省は携帯電話のSIMロックを解除する方針を固め、6日、原口一博総務相が6月中に実施に向けたガイドラインを策定すると発表した。
SIMとは携帯電話端末のバッテリー裏などに挿入されているICカード。電話番号などが登録され、ユーザーがキャリアから通信サービスを受ける際の証明書の役割を担っている。国内では従来、端末とこのカードがセットで販売され、分離しても機能しないロックがかけられていた。これが解除されることになれば、将来的にはユーザーが端末と通信キャリアを自由に組み合わせられるようになる。
当初、SIMフリー化が有利に働くと見られたのが、首位のNTTドコモ。ネットワークの強固さは業界随一であるため、キャリア(通信事業者)間がネットワークのみで勝負することになれば、競争優位性が増すという見方がある。特に、現在ソフトバンク<9984>が独占販売している米アップル社「アイフォーン」のユーザーを獲得できるという観測が広がり、2日の総務省による方針決定後となる週明け月曜日、株価は強含んだ。
ただ、各キャリアのシェアや業績への具体的なインパクトの度合いはまだ不透明だ。ロック解除の実施がいつからになるか、対象となる端末の範囲はどの程度になるのかなど、詳細は6月中の策定とされるガイドラインが出るまでは明らかではない。
総務省は07年に携帯電話産業に関する研究会を立ち上げ、第3.9世代や第4世代と言われる次世代通信方式への移行のタイミングをSIMロック解除の目安とする意向を示していた。
だが、その第3.9世代の方式であるLTEは、ドコモが先陣を切って今年12月より開始するものの、KDDI(au)<9433>やソフトバンクの移行時期は2012年から13年ごろになると見られる。ドコモだけがロックを解除しても、他キャリアとの流動性は生まれないため、当面は影響は出ないだろう。
また、ロック解除にはデメリットもある。長期契約を前提にキャリアが出している販売奨励金がなくなり、端末価格の値上げにつながる可能性があるほか、「iモード」など各キャリアが端末メーカーと組んで作り込んでいる専用サービスは他キャリアのSIMカードを挿しても使えない。そのため、ロックが解除されることになったとしても、SIMカードの挿し替えを行うユーザーは一部にとどまるという見方もある。まずは6月にも明らかになるガイドラインの発表を待つ必要があるだろう。
(桑原 幸作)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
◎本2009.03 4,447,980 830,959 780,473 471,873
◎本2010.03予 4,276,000 835,000 830,000 494,000
◎本2011.03予 4,230,000 840,000 835,000 500,000
◎中2009.09 2,145,807 485,223 479,881 284,718
◎中2010.09予 2,125,000 487,000 482,000 289,000
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1株益¥ 1株配¥
◎本2009.03 11172 4800
◎本2010.03予 11873 5200
◎本2011.03予 12018 5200-5400
◎中2009.09 6818 2600
◎中2010.09予 6946 2600-2700
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