都市の温室効果ガス排出量「超過小報告」の実態

なんと90%過小報告している都市もあった

アメリカの都市では、実際より90%過小見積りをしている都市もあったという(写真:benkrut/PIXTA)

都市は温室効果ガスの排出量を過小に見積もる傾向がある。それも、わずかな誤差ではない。

学術誌『ネイチャーコミュニケーションズ』で最近発表された研究によると、過少計上のレベルは平均して20%近くに達した。こうした過少計上が全国に広がっていると仮定した場合、未計上となっている年間の「隠れ排出量」は全体として、カリフォルニア州の総排出量をおよそ25%も上回る水準になるという。

同研究によれば、化石燃料から生じる二酸化炭素の4分の3近くは都市部で排出されているが、都市部の発展は今後も続くとみられている。世界では多くの都市が環境負荷の低減に向けて意欲的な目標を掲げているものの、二酸化炭素の排出量や削減量を測る一貫した計測手法はまだ確立されていない。今回の研究によって、温室効果ガス排出の計測のために各都市が自主的に行っている試みには一貫性がなく、欠陥のあることが明らかになった。

排出を管理する体系的な規制がない

アメリカでは何百という都市が温室効果ガス排出の大幅削減を公約している。正確な計測は、現状の排出量や目標達成度合いを確かめるのに欠かせない要素だ。

「アメリカには温室効果ガスの排出を管理する体系的な規制アプローチが存在しない」と、論文の筆頭筆者を務めた北アリゾナ大学のケビン・ガーニー教授は指摘する。「どのような政策を掲げるにしても、まずは次の点を明らかにすることから始めなくてはならない。排出量とは何を指すのか、それはどの場所でどれだけの量になっているのか、発生源は何か、ということだ」。

バイデン新政権は温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に復帰し、気候変動対策を重要課題に位置づける。ガーニー氏は、これを受けて温室効果ガスの効果的な削減方法の特定が重要になってくると話す。削減の基準や目標が国レベルで設定される一方で、実際の削減の多くを担うのは地方自治体だ。

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