さらに問題なのは、保健所や自治体が設立した検査センターでPCR検査を受けたケースだ。その人たちは一度も医療機関を受診せずに自宅療養に入るからだ。
保健所が逼迫しているなか、和田さんは「少なくとも自宅待機中の人に対しては、臨時の主治医をつくるべき」と言う。
「臨時の主治医は、電話診療やオンライン診療を行って、必要に応じて薬を処方したり、入院調整を行ったりできるようにします。こうした対応は、開業医や民間の医療機関が担うことになるでしょう。さまざまな理由から感染者疑いの人を診られないという医師でも、電話診療やオンライン診療であれば防護服を着ける必要もなく、感染の心配はありません。自宅待機中の人の不安も払拭されます」
そのためには、地域の医師会が音頭を取る必要があると訴える。
入院調整を誰が担うのが正解なのか
その際、「入院調整」という機能を持たせたほうがいいという。現在、入院調整をするのは、保健所の役割となっている。その問題点を、和田さんは先の女性の例を挙げつつ指摘する。
「女性が電話で症状を訴えてきたとき、本来なら肺炎を疑って胸部CTなどを撮って確認し、肺炎なら入院させる必要がありました。しかし、自宅療養中の陽性者や濃厚接触者に入院の手続きを進められるのは、基本的には保健所だけです。保健所が東京都の入院調整本部と調整して入院先を決めるからです」
入院調整については、もともと医師がコロナ前から日常的に実施している行為であり、慣れている。だからこそ、医師でもできるようにしたほうがいいというのだ。
東京都は1月25日、「自宅療養者フォローアップセンター」を拡充し、多摩地域に限定されていた24時間対応・自宅療養者専用医療相談窓口を23区でも対応できるようにした。電話番号は保健所が電話連絡をする際に伝えられる。基本的には看護師が応対し、必要に応じて医師に連絡ができるようになっている。和田さんは言う。
「そもそもPCR検査を受けた後の対応が複雑。自宅療養中、待機中でも不安なく過ごせるような体制を整えてほしい」
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