――流されないということにもパワーが必要ですよね。
そうですね。納得しない先には何があるのかな……と思うことはあります。つまり、いろいろなことに納得できればとても生きやすいんですよね。納得したら、「そうかそうか。私はみんなと同じ考えだな」と思えます。
でも、世間と違うことを言うならば、反証しなくてはいけない。調べるには、覚悟も体力も必要だし、迷子にもなる。でも、私は迷いの中に踏みとどまり、きちんと書きたいんです。トンネルの中を歩みながら、自分自身の答えを見つけなければいけないと思っています。
――ノンフィクションのトンネルの中を、どんなモチベーションで歩んでいくのでしょうか。
「言葉をお預かりしている」という気持ちが大きいです。『エンド・オブ・ライフ』を書いているときも、「何とかして、この言葉を読者に渡さなきゃいけない。これを持ったまま死ねない」と思っていました。だから必死になって光を求めて、出口を見つけようとがむしゃらに走り続けたんです。
死別した人と再び出会い直す
――読者からはどのような反響がありましたか。
「よく書いてくれた」とよく言われます。たぶん本に出てきた方々の想いを知るなかで、みなそれぞれの死別した方を思い出し、その方と再び出会い直すのかもしれません。本の主人公も故人ですが、本には過去や未来を超える力がありますよね。
死をテーマにしているので、もしかしたら「つらい読書」だと感じる方もいるかもしれません。ですが、本書を自分の死生観や宗教観、医療への考え方、人生哲学みたいなものと向き合う機会として使ってほしいと思っています。
1人では見つめにくいことも多いので、「自分はこうだな」とか「こういうふうに思っているな」など『エンド・オブ・ライフ』を通じて向き合ってもらい、ご自身の人生を生き抜いてもらえたら嬉しいです。
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