資金・部員不足で窮地「大学新聞」学生らの苦闘 コロナ禍も追い打ち、それでも続ける理由
齊藤さんはこう続ける。
「55年の歴史を潰さない責任もあります。でも一番は、取材で目にした世界を学生と共有して、新しい選択肢を提示したい。学内でこんな行事があるとか、OBにはこんな人もいるんだとか。世界ってこんなに広くて、こんな業界でこんなモチベーションで頑張っている人がいると知ってほしい。
それに、大げさかもしれないですが、“使命”があります。これまでの取材で、上智の学生は、抱えている不満を学生課に直接言えない面があると感じています。例えば、科目履修の際に倍率が高すぎて、興味関心があってもその授業を受けることができないとか。これらは大学側が何らかの対応をすべき問題です。そうした学生の声を代弁するためにも上智新聞が取材しなければなりません」
前局長の山田さんも「紙には歴史的価値があります」と言い、“歴史”にこだわっている。
「部室だけではなく、図書館にも上智新聞は保存されています。30年後、何かの偶然で私たちの作った新聞を在学生が手に取り、『30年前の学生は履修に不満を持っていたのか。タピオカが流行っていて、上智大の周りにも店が多くできていたのか』と過去を振り返ってくれたら、と思います。いま、手に取ってくれる人が少なかったとしても、いいんです。将来、誰かに読んでもらえたらいいんです」
立命館大学新聞の調査は全国紙が引用
東京大学の「東京大学新聞」は週1回の発行で、「紙」と並行してオンラインでも同じ記事を展開している。最近では、東京大学の准教授にうつ病について取材した記事が載っている。2020年9月22日号でオンライン授業や課外活動の制限によって心を病んだ学生に向けて、症状についての理解、使用できる学内の相談場所についての情報を提供した。
「立命館大学新聞」では2020年の9月号で、全学対象のアンケートに基づく調査結果を記事にした。
その中には「コロナウイルスの影響により、立命館大生の1割が退学を検討していることが立命館大学新聞の調査でわかった」という趣旨も含まれ、全国紙なども引用。大きな話題を呼んだ。
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