人間を襲う外敵と戦う「細胞」の超シビアな現実 そもそも「免疫」とはいったい何なのか

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「免疫」や「抗体」は、そもそもどんな役割を果たしているかご存じでしょうか?(写真:metamorworks/iStock) 
ここ最近は、皆さんが生きてきた中でも最も免疫を意識しているときではないでしょうか。ワクチンの接種も始まります。世界的な生命科学者であり、ノーベル賞受賞者の共同研究者でもある吉森保先生。その吉森先生が、生命科学の基礎から最先端までをわかりやすく解説した著書『LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義』より、免疫と抗体について解説します。

免疫は外敵を体から排除する仕組みのこと

昨年から今年にかけて、ニュースのみならず日常会話でも「免疫」や「抗体」という言葉をよく耳にしますね。

とはいえ、免疫とは、そもそも何でしょうか。何となくわかっているけれども、正確に説明できない。そんな言葉の1つではないでしょうか。

免疫は、簡単にいうと外敵を排除して体を守る仕組みです。

本当は、免疫にはがん免疫のようにがん細胞をやっつける免疫もあるし、移植免疫といって他人の組織や細胞を排除する免疫もあります。がん細胞は本来自分の細胞だし、移植した組織や細胞は正確には敵ではありません。つまり本来は、「正常な自己」と「非自己」や、がん細胞のような「異常な自己」を見分ける仕組みが免疫なのですが、ここでは混乱しないように外敵の排除とします。

外敵とは病原体や寄生虫のことで、病原体は大きくわけて3種類います。①ウイルス、②細菌、③真菌・原虫、です。

ウイルスは、実は生き物かどうか怪しい存在です。生き物とは自力でエネルギーをつくり、子孫を残す能力が最低限必要です。ウイルスは、その能力はありません。細菌は生物ですが、ウイルスは生き物ではないともいえます。

細菌は、ボツリヌス菌やレンサ球菌などです。一方、真菌はカビや酵母のことで、真核生物です。

真核生物は、酵母からヒトまで大きなグループをつくっています。原虫やカビも真核生物に属します。原虫というのは、昆虫ではなく、原始的な動物です。マラリア原虫が有名です。

寄生虫はそれよりずっと大きく、肉眼でも観察される生き物です。もちろん真核生物です。

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