日本だけじゃない「人口減少」が映す心配な未来 確実に予測できる事態への備えはできているか
具体的には、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国では、現在の人口が2050年には2倍(99%増)になるものの、それ以外の地域では2050年までの人口増加率を次のように予測している。
●東・東南アジア……3%
●ラテンアメリカ・カリブ……18%
●中央・南アジア……25%
●オーストラリア・ニュージーランド……28%
●北アフリカ・西アジア……46%
これを国別にみると、インド、ナイジェリア、パキスタン、コンゴ民主共和国、エチオピア、タンザニア、インドネシア、エジプト、アメリカの順に増加するとしている。
一方、国際連合の人口推計に対して、「世界の人口は2064年に約97億人に達してピークを迎えた後、人口減少に転ずる」とする研究発表もある。
「ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)」による、この未来予測の内容は衝撃的なものだ。2064年にピークをつけた後、世界は人口減少時代に入り、気候変動同様の深刻な問題になると指摘しているのだ。
研究者の間では、2050年代以前から世界が人口減少時代に入ると予測する人も少なくない。2050年代なのか、それとも2060年代なのかはともかくとして、その影響は今後の世界経済にも大きな影響を与えそうだ。
イタリアは6100万人→2800万人へ
たとえば、イタリアは2017年には6100万人とピークをつけ、今世紀末の2100年までに約2800万人へと急減すると予想されている。日本が、1億2700万人(2017年)から5300万人(2100年)まで減少する予測より、さらにインパクトのある人口減少といえる。ちなみに、日本の2060年の人口は8674万人(厚生労働省・人口動態統計)まで減ると予想されている。
2060年になっても人口増加を続けられると予測されているアメリカやイギリスも例外ではない。イギリスは、現在の人口6665万人(2019年)から2063年には約7500万人まで増えるが、それ以降は減少に転ずると予測されている。
実際に、世界の大半の国が人口減少を経験することになりそうだ。IHMEのシミュレーションによれば、2060年までに世界195カ国中183カ国で、出生率が「人口置換水準」を下回ることになる。人口置換水準とは、人口が増減しない均衡した状態になる「合計特殊出生率」の水準が、人口増加を意味する「2.1」を下回ることを意味する。世界の大半の国が、人口減少に陥ることを意味するわけだ。
世界的にも有名な日本の少子高齢化。今回のコロナ禍がさらなる「少子化」に拍車をかけそうだ。
そもそも日本の出生者数は、年々減少傾向にある。かつてはコンスタントに年間100万人を超えていたのだが、いまやその数は急速に減少し続けている。2019年には86万5000人まで減少。いわゆる「86万ショック」と言われるレベルにまで下落してしまった。
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