日本だけじゃない「人口減少」が映す心配な未来 確実に予測できる事態への備えはできているか
45万人の死亡者数を出し、世界で最も感染者が多いアメリカでも深刻だ。アメリカの人口増加率は、この120年間で最も低い上昇にとどまっており、新型コロナの感染拡大による死亡者数の急増と出生率の低下によるものが原因と言われている。
アメリカの人口は約3億2900万人だが、2019年7月から2020年7月までの1年間で、全米の人口増加率はわずか0.35%にとどまっている。
アメリカは世界の先進国では唯一、人口が増加している国だが、近年その傾向に変化がみられる。実際、2019年には人口減少の兆しが出ており、同年の出生数は370万人。過去36年で最低水準となった。2020年はここにパンデミックが重なり、年間の出生数は300万人を割り込むのではないかとさえ言われている。
こうした傾向は、世界的に拡大している。2021年1月27日現在の数字を紹介しよう。新型コロナの感染者数は世界で1億人を超え、死亡者数は216万人を超えている。国別では、アメリカが42万5000人、ブラジルが21万8000人、インドが15万4000人。ワクチンの接種が始まったものの、収束に至るまでにはまだ相当の時間がかかると見られている。
すでに200万人以上が犠牲になった新型コロナウイルス。今後の展開次第ではさらなる犠牲者を覚悟しなくてはならないだろう。いまだに、新型コロナを「ただの風邪」という人がいるが、たとえば英国では2020年に69万7000人が死亡している。これは過去5年の平均を約8万5000人も上回っている。
いわゆる「超過死亡」に相当するものだ。今後のパンデミックの進捗状況によっては、こうした超過死亡が急激に増えていく可能性が高い。現在、われわれが目にしている死亡者数よりも多くなる可能性が高いのだ。いずれにしても、コロナが短期的な人口減少につながる可能性が高い。
2050年代には世界中の国が人口減少になる!?
一方、人口減少の長期的な問題とは、日本を筆頭に世界中が「人口減少時代」に突入しつつあるという問題だ。一時、世界の総人口が爆発的に増えていく未来が心配されていたが、今回の新型コロナウイルスや気候変動による影響によって、先進国を中心に出生数が大きく減少。加えて、医学の発展などによって高齢化が進み、今後世界は長期的な人口減少と高齢化の時代に入る、という問題だ。
国際連合が発表した2019年版の「世界人口推計」によれば、現在の世界の人口は77億人。2030年には85億人、2050年には97億人、2100年には109億人に達するだろうとしている。人口減少ではなく人口増加だろう、と思われるかもしれないが、同推計によると、地域によって大きなばらつきが出ると警告しているのだ。
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