日本だけじゃない「人口減少」が映す心配な未来 確実に予測できる事態への備えはできているか

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国際連合の人口推計でも、2019年現在、世界人口の11人に1人が65歳以上になっているものの、2050年には6人に1人になると予測。25歳から64歳までの生産年齢人口が、65歳以上人口に対する割合を示す「潜在扶養指数」を見ると、もっとも低い日本の「1.8」を筆頭に、世界的に低下傾向がみられる。欧州など、すでに29カ国が潜在扶養指数「3」を下回っているそうだ。

2050年までには、48カ国で同指数が「2」を下回ると国際連合は指摘している。高齢化の進行は、世界中で生産年齢人口が減少することを意味しており、それは人類が今後も繁栄できるか、それとも衰退していくかの分岐点になるのかもしれない。

移民争奪、食料不足、景気低迷が加速される?

そもそも人口減少は、経済成長に大きな影響を与える、とよく言われる。しかし、その一方で、人口の動静よりも技術革新=イノベーションが続いていけば人口減少は怖くない、という説もある。

以前から人口減少が警戒されてきた日本では、すでに2003年には経済財政白書で高齢化・人口減少化での経済成長についてレポートしている。これらのレポートを参考にまとめると、大きく分けて次の3つが大きな影響と言っていいのかもしれない。

①経済成長への影響

少子化による生産年齢人口の減少によって、経済成長のための「労働力不足」が問題になる。さらに高齢者比率が高まれば国全体として「貯蓄率低下」となり、経済成長のために必要不可欠な「資本投資不足」が蔓延化する。これらの要素が複合的に徐々に経済成長鈍化させる懸念があるというわけだ。

②公的部門への影響

人口減少やそれに伴う経済成長の鈍化によって「税収不足」となり、社会保障制度の支えである現役世代に対する負担が高まる。医療や年金、教育といった公的サービスが量、質ともに減少、低下していく。

③国民負担率の過度な高まり

現役世代の家計や企業の可処分所得が低下し、個人は消費意欲や労働意欲をなくし、企業は設備投資意欲を減退させていく。

問題は、日本だけにとどまらずに、国際的に人口減少、高齢化が起きたときに、世界経済にはどんな影響がもたらされるかだろう。加えて、新型コロナによるパンデミックなどが多発すれば、人口減少の勢いは加速される。とりわけ、サハラ砂漠以南の人口増加地域は、最貧国が多く、医療設備なども整っていないため、パンデミックでは甚大な被害が出やすい。

人口減少の影響を正しく見極める必要があるということだ。次のような5つのポイントが考えられる。

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