PS5の「高額転売」がいっこうにやまない実態 ノジマが「転売撲滅宣言」を出すほどに深刻

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販売元・小売店と転売ヤーとの間でいたちごっこが続く中、新たなツールを提供する企業が出てきた。サイバーセキュリティ企業のSpider Labs(スパイダーラボズ)が提供する転売ヤーの検知サービスだ。

化粧品や健康食品などを取り扱う通販業界では、かねて通常商品よりも安価な初回お試し商品や希少価値の高い商品が転売目的で購入されることが問題となっている。事業開発部長の宮本雄大氏は「(通販を行う)顧客から、商品を直接購入する場合にも不正検知ができないかと1年ほど前から相談を受けていた。 アドフラウド対策(広告費の詐取防止システム)の技術を転用したところ、(大量購入する)転売ヤーが検知できたことで新サービスの開発を急ピッチで進め提供に至った」と話す。

数十社が検知サービスを導入

具体的な検知の仕組みは行動パターンから割り出している。例えば、同じユーザーが複数のアカウントを使い回す、同じアクセス元から連続して注文する、ウェブブラウザを自動で動かすbot(ボット)を使って大量購入するなど、不正な購入をしているユーザーがもつ一定の特徴を把握する。

不正検知の一例。検知システムで転売目的と判定したら、購入を取り消す(画像:スパイダーラボズ)

そして、スパイダーラボズで蓄積したデータから転売目的とみられる購入を検知する。そのうち9割以上が不正購入と判定された。検知サービスは2021年1月から始めたがすでに数十社が導入しているという。

「健康食品や化粧品だけでなくネット通販事業者のほとんどに導入は可能。新型ゲーム機や有名ブランドのスニーカーなど高額転売も目立っている中、転売対策を必要とする企業への導入を積極的に進めたい」(宮本氏)としている。

本当にその商品がほしいと思う人たちへ、正規ルートで届けられる仕組みをどのように担保するのか。チケットや衛生用品以外に規制する法律がない現状において、メーカーや小売店が転売ヤー対策に頭を悩ませる状況が続きそうだ。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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