東京の地元飲食店を束ねて救う「助っ人」の正体 IT系でもない城南信金がサイトを立ち上げた訳

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信用金庫は信用金庫法で営業エリアが定められているため、登録希望者は地元の信用金庫を通す必要があるものの、登録料は無料で、登録件数は1月末時点で500に迫っている。

冒頭で紹介したARALIYA LANKAを運営するギゼン株式会社の藤山敬一代表は「テイクアウト客が徐々に増え、売り上げの減少幅を最小限に食い止めることができている」という。当初、テイクアウトは追い詰められたうえで繰り出した策ともいえたが、現在は売り上げの4割を占めるまでになっているという。「アフターコロナを見据えたとき、テイクアウトは重要な柱になっていく。城南信金さんのアイデアには感謝している」と藤山代表は語る。

銀行と違い、営利を目的としない信用金庫は地域経済を支えることを旨とする。が、それでも本業はあくまで「融資」で、今回のように本業支援に乗り出すのは珍しい。ここには、いくつかの理由がある。

飲食業界、特に零細業者は崖っぷち

2度目の緊急事態宣言でやり玉にあがったのが飲食業だった。主たる感染源とされ、政府は時短命令に従わない事業者には「50万円以下の過料」を課す案までぶちあげた。国会で異論が噴出したため「30万円以下」への減額修正案で可決したが、飲食業界は神経を尖らせている。

20時以降の営業はもちろん、政府や専門家会議からは「昼の会食も控えて」という要請まで出たことで、八方塞がりと感じる業者が少なくないのだ。城南信金が定期的に実施しているアンケート調査には「飲食店が感染源になっているという証拠があるのか」「飲食業者にばかり矛先を向けようとするな」といった指摘や反論が散見される。

政府は昨年から、事業者向けに持続化給付金や家賃支援金など大型の財政出動を実施し、金融機関には無利子・無担保のコロナ融資を実施するよう迫ってきた。その結果、東京商工リサーチが今年1月に発表した2020年の企業倒産件数(全業種)は前年比7%減の7773件と、1990年以来の低水準となった。

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