ついに株価の短期下落が始まったかもしれない 「波乱の真犯人」は本当にロビンフッダーなのか

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一部では「急騰した銘柄を空売りしていたヘッジファンドが、高値での買い戻しを迫られることで巨額の損失を被り、それを穴埋めするために益出しの反対売買を行うだろうから、それが市場をかく撹乱しかねない」との声もあるようだ。

ロビンフッダーは下げの「口実」に使われているだけ

しかしヘッジファンドが、買い持ちを投げ売りするのか、それとも同様に空売りしているポジションを「投げ買い」するのかは不透明で、必ずしも株式市況全体を押し下げる要因だとは決め打ちしがたい。

先週のFOMC(連邦公開市場委員会)後のジェローム・パウエル議長の記者会見では、こうしたロビンフッダーの動きについて見解を求める質問もあった。

そうした質問の背景には「連銀の生み出した過剰流動性が、ロビンフッダーによる個別株価の急激な動きをもたらしているのではないか」との懸念もあるようだ。だがこれまで「金余りだから株価はどんどん上がる」と騒いでいたのだから、今度は金余りで株価が下がる、と言われても、理解不能だと言える。

では、どう解釈すべきかと言えば、少し前まで、足元の景気や企業収益がもたついており、どんどん株価が上がる理由がなかったにもかかわらず、株価の勢いだけで「上がるから買う、買うから上がる」という状況に陥っていた。

だから今度は、どんどん株価が下がる理由がないにもかかわらず、株価が下振れしている、ということにすぎないのだろう。ただ、マスコミにとって、「理由もなく株価が上がっていたが、今度は理由もなく株価が下がりました」と報じることはできないため、後付けで無理矢理株価下落の要因を掘り出しこじつけた結果、ロビンフッダーが下げの「口実」にされている、ということだと考える。

一方、先週の株価反落の前までは「株価は企業決算に対する期待で上がっている」との解説が多くみられた。足元では日米の主要企業の決算発表が行われており、たとえば時価総額で世界最大のアップルが1月27日に2020年10~12月期の決算を発表したが、その内容は売上高が前年比21%増収、純利益同29%増益と好調だった。

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