ついに株価の短期下落が始まったかもしれない 「波乱の真犯人」は本当にロビンフッダーなのか

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主要国の株価がこのように反落したことについて、きっかけとして挙げられているものは主に2点あったと報じられている。1つは、アメリカのロビンフッド社の株式売買アプリにまつわるものだ。このアプリを利用した個人投資家が、特定銘柄に買いを集中させ、ヘッジファンドなどの売り方を担ぎ上げて株価を急騰させた。これが市場を混乱に陥れているため、投資家の懸念が広がって、アメリカ株が大きく下がった、と解説されている。

確かにこの事象は話題になっているし、関心が高くて当然だろう。こうした、個人投資家がSNSなどで情報を交換し、売り買いを特定の対象に集中させるという手法はこれからもっと広がっていくのだろうか。また今後、当局は監視し規制する対象とするのか、それとも経済的な自由の一環として放置するのか。ロビンフッド社自体が一時一部銘柄の売買を制限したが、そうした自主規制は今後も行われるのか、他にロビンフッド社のような企業が多く立ち上がっていくのか。同社のようなビジネスモデルの将来はどうなのか等々、大いに注目されるところだ。

株価の波乱は本当に「ロビンフッダーたち」のせい?

しかし、「ロビンフッドを活用した個人投資家の動きが特定銘柄の株価を急騰させたから、先週のアメリカの主要な株価指数が大きく反落した」と言われても、何のことだかわからない人が多いだろう。筆者もまったくわからない。

こうした「株式市場全体の市況反落は、ロビンフッダー(ロビンフッドを利用している個人投資家たち)のせいだ」という主張は、ツッコミどころが満載だ。

そうしたツッコミを挙げていればキリがない。だが、個別銘柄がロビンフッダーによって大きく下落したならともかく、大きく上がったことが、なぜ全体の株価の下落材料になるのか、わからない。

また、いわゆるGAFAのような、他の投資家が多く保有しており時価総額も大きい銘柄なら話は別だが、ゲームストップ(ゲームソフト小売り)やAMCエンターテインメント・ホールディングス(映画館チェーン)、ブラックベリー(企業向けソフトウェア開発)の株価がいくら上下に跳ぼうと、ニューヨークダウやナスダック総合指数を揺るがすとも思えない。さらに、なぜロビンフッダーの動きが日本株の下落要因になるのかまで来ると、まったく理解できない。

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