キヤノン、上方修正後に待つ「新規事業」の難題 医療機器、ネットワークカメラは増収増益に

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ただ、こうした従来の主力事業だけでは成長は見込みにくくなっている。そこでキヤノンが新たな収益柱に育成しようとしているのが、医療機器やネットワークカメラなどの新規事業だ。

キヤノンは2010年代から医療機器やネットワークカメラ、有機EL向けの製造装置などを強化してきた。2015年には監視カメラ事業を行うスウェーデンのアクシスコミュニケーションズを約3300億円で、2016年には東芝メディカルシステムズ(現キヤノンメディカルシステムズ)を約6600億円でそれぞれ買収した。

新規事業の売り上げを4割に

新規事業の収益は2020年12月期通期では横ばいだったものの、2020年10~12月期だけをみると、医療機器やネットワークカメラを筆頭に前期比増収増益となったようだ。

御手洗冨士夫会長兼社長CEOも1月5日の年頭あいさつで、「現行事業部と関係会社を、プリンティング、光学産業、メディカル、産業機器の4グループに再編して事業競争力を強化する」と示している。本機構改革では新規事業の創出・育成を担う「フロンティア事業推進本部」を設置するだけでなく、既存事業と新規事業のシナジー拡大を目指す。例えば、祖業のカメラで培った光学技術は産業用ロボット向けのカメラなどに生かされている。こうした取り組みを拡大し、新規事業の成長加速を目指す。

2021年から始まる5カ年計画中では、売上高に占める新規事業の割合を40~45%にまで高めることを目標としている。2020年実績は28%で、コロナ禍で既存事業が大きく落ち込んだことを勘案しても、目標達成には相応の努力が必要だ。

田中稔三副社長CFOは1月28日開催の決算説明会で「現行事業の収益体質強化と新規事業の拡大を図ることで、高収益企業への回帰を目指す」と話した。新規事業の復調を追い風に高収益企業に戻れるか。コロナ禍から回復しつつある2021年が勝負の年となる。

大竹 麗子 東洋経済 記者

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おおたけ・れいこ

1995年東京都生まれ。大学院では大学自治を中心に思想史、教育史を専攻。趣味は、スポーツ応援と高校野球、近代文学など。

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