大きな"インパクト"こそベンチャーの使命 ラクスル・松本恭攝CEOと語る(上)

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 アメリカ進出で海外の印刷業も変える

――なぜ、500億円以下の上場は認めないのですか。

伊佐山:WiLは世間ではファンドと報道されていますが、ミッションのひとつは「日本から骨太のベンチャーを育てる」ということです。われわれが定義する“骨太”とは、大企業として育つような組織とビジネスの力をつけてから上場することです。100億円で上場して「万歳」というわけではありません。

日本には上場して、投資家が売り抜けたら“終わり”という会社がゴマンとあります。ただ、上場は終わりではなく、通過点です。だからこそ、少なくともわれわれが手掛けた案件は「上場して終わり」にならないようにしたい。

だからこそ、短期的に上場しそうな会社に投資する「儲かるか」という基準だけではなく、その会社が存在することで社会が豊かになる、今までにないサービスが提供できる、という要素も含めて投資する。端的にいえば、社会を変えるような「大きな会社に成長するか」が投資の基準です。たとえ、われわれが株主でなくなっても、日本のひとつの大きな産業の中で大きな会社になるかどうかが重要です。

――今回の増資を受けて、ラクスルの今後をお聞かせ下さい。

松本:私たちが今後、目指している先は、3つあります。ひとつは、現在の事業を伸ばしていくこと。印刷のEC市場の需要が年々20%近く増えている中で、その需要をしっかりつかまえ、日本全国の印刷会社の空き時間を使って、シェアを高めていくことです。

2つめは、国内での新規事業です。まったく新しい事業ではなく、印刷を基軸にした事業を作っていこうと思っています。今、チラシを刷ってお客様にお届けする事業をしていますが、お客様は本来的にはチラシが欲しいわけではなく、チラシを使って集客をしたいわけです。穴とドリルの関係に例えると、印刷はドリルです。お客様は穴を開けたいわけで、ドリルでもキリでもピストルでもなんでもいい。だから、その“集客”の部分までできたらと考え、折り込みチラシやポスティングなども行っています。

3つめは、海外事業です。これはまさにWiLさんにサポートをいただいているのですが、日本と同様に海外も印刷のEC市場は伸びています。その中で、市場が大きく、可能性のありそうな、アメリカにフォーカスして進出準備をしています。アメリカでも、印刷業界が厳しいことには変わりがなく、日本同様にパートナーシップを組んでビジネス展開していきたい。今後、アジア、ヨーロッパも視野に入れながら、まずはアメリカからスタートしたいと思っています。

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