ナンバー2が「イエスマン」の会社が伸びる理由 小山昇が750社を訪問して気づいた法則
私が会社を離れていた間、ダスキン家庭用部門のエースとして武蔵野を支えていたのは、I部長(女性)でした。
出戻りの私に対し、「小山さんの売り上げ(業務用部門)を超えたのよ」と得意げに言うI部長に、私はカチンときました。当時の私は血気盛んで、「売られたケンカは必ず買う」「売られてないケンカも買う」が信条でしたから(笑)、黙っていることができませんでした。
再び業務用部門を任された私は、「I部長の鼻っ柱をへし折ってやろう」と意気込み、ベリーそっちのけで武蔵野に注力。わずか半年後には、I部長の売り上げを超えました。
ところが……、プライドを傷つけられたI部長は、思いも寄らない「秘策」を使って、やり返してきました。ある日突然、家庭用部門のスタッフ(社員とパート責任者)を全員引き連れて(約10人)、会社を辞めていったのです。
現場のスタッフが全員いなくなったのですから、さすがの私も慌てました。その場をしのぐために、業務用部門にいた社員のKを呼んで、「今日から家庭用部門の担当になれ。はい、本部長!」。アルバイトだった伊藤修二(当時・現顧問)を呼んで、「今日から社員になれ。はい、部長!」。
中卒のアルバイトだったYを呼んで、「今日から社員になれ。はい、課長!」と指示を出し、無理やり役職を押しつけ(笑)、なんとか乗り切りましたが、手痛い経験となりました。
プライドはいらない、欲しいのは数字
I部長を追い込んだのは、私の配慮が足りなかったことが原因です。社内のコミュニケーションが悪くなったのも、私の身勝手が原因です。
先輩であるI部長に、
「家庭用部門を支えてくださって、ありがとうございました」
と感謝を伝え、
「私も武蔵野を離れていたので、わからないことがたくさんあります。いろいろ教えてください」
と教えをこい、頭を下げていたら、スタッフの大量離反は防げたに違いありません。
全社一体となって売り上げを伸ばすべきだったのに、あのときの私は、I部長をやり込めることを目的としていました。その結果、社員の離反を招いてしまったのです。
今の私は「頭を下げるのはタダ。社長が頭を下げれば下げるほど業績は上がる」ということを知っているから、ドンドン頭を下げます。
クレームを受けて、謝罪に行って、「偉そうに本を出してるくせに、ろくに社員教育もできてないね!」と罵倒されても、「おっしゃるとおりです。申し訳ございません」とせっせと頭を下げています。
プライドはいらない、欲しいのは数字です。それがわかれば、頭を下げるのに、なんの苦痛も感じなくなります。
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