あなたの言葉が人に響かないただひとつの理由 無理に誉め言葉をひねり出しても伝わらない

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そこで、この新入社員の行動を受けて、あなたがどう感じたのか、自分の気持ちをさらけ出してほしいのです。つまり、自分が受けた影響を褒め言葉にしてもらいたいのです。

例えば、次のような褒め言葉を伝えてみましょう。

「〇〇君が、元気で明るく大きな声で爽やかにあいさつして、周囲の人に感謝しながら仕事をしている姿を見て私まで元気をもらっています。私自身が明るい気持ちにさせてもらっています

褒められたほうがうれしい気持ちに

どうでしょうか? ポイントは、「私まで元気をもらっている。明るい気持ちにさせてもらっている」というように、相手のよい部分の影響を受けて自分の気持ちを素直に伝えているところです。

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こうすれば、上から目線の褒め方にもなりませんし、リスペクトの気持ちが伝わります。こうした自分が受けた影響を表す言葉がとくにいい点は、褒められたほうがものすごくうれしい気持ちになることです。

なぜなら、人間は、自分が相手にどれだけ影響を与えたかを知りたい生き物だからです。先ほどの新入社員の男性からすれば、「そうか、私の行動で目の前の人に元気と明るい気持ちを与えることができている」と、とてもうれしい気持ちになるわけです。

また、「こんなに人に喜んでもらえるなら、あいさつや感謝の言葉をもっと大切にしよう」と考えて、自らの成長意欲が高まることでしょう。人は、褒められて自分の長所に気づき、自信を持てるようになるのです。

谷 厚志 怒りを笑いに変えるクレーム・コンサルタント、一般社団法人日本クレーム対応協会の代表理事、クレーム評論家

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たに あつし / Atsushi Tani

1969年、京都府生まれ。近畿大学卒業後、広告会社の営業マンを経て、旅行会社のコールセンター、お客様相談室で責任者として2000件以上のクレーム対応に従事。一時はクレームによるストレスで出社拒否状態になりながらも「クレーム客をファンに変える対話術」を確立。現在は独立し、クレームで困っている企業などのために全国でコンサルティング活動を展開。著書に『どんな相手でもストレスゼロ! 超一流のクレーム対応』(日本実業出版社)など。

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