デキる人が実践「自己演出力」を身につけるコツ 考え方1つで「人間関係」の悩みも解消される
「人生は舞台、人はみな役者」――シェークスピアの喜劇『お気に召すまま』に出てくる名台詞である。この名台詞はこう言いかえることもできる。「学校は舞台、先生はみな役者」――。当然会社にも置き換えられる。「会社は舞台、会社員はみな役者」――。
長年、演出の仕事をしてきた私は、新著『あなたはなぜ誤解されるのか ――「私」を演出する技術』で、自分自身を「演出」するという視点を持つことの意義を伝えようとした。もう少し若い人に通じやすいたとえでいえば、人生をRPG(ロール・プレイング・ゲーム)だと捉え、自分をその登場人物だと考えてみるということである。
それにはこんな効用がある。上手くできた小説や戯曲は、組織の人間関係を上手く映し出している。組織を見渡すと、創作で作られたキャラクターで置き換えることができるものだ。人はそれぞれ自分の立場を「演じている」。本人にその自覚がないだけで。役員は役員らしく、中間管理職はそれらしく、新入社員は新入社員らしく振る舞う――。
自分にあてられた役を演じている
会社に入る前の年に、学校に通っているときは皆「最上級生」だった。下級生のお手本として、立派に振る舞っている人もいれば、逆に威張っていた人もいただろう。しかし、会社に入れば皆“新米"である。自ずと人に対する態度も変わってくる。周りは皆先輩なのだから。
それは社会の一員として生きるために自然なことで、その振る舞いの変化を見て「あいつは態度を使い分けている」とは言わない。家族の中では、末っ子で甘えっ子であっても、会社の中では「一部上場企業の堂々とした社長」という人もいるだろう。
その場その場で自分にふさわしい振る舞いをして、自分にあてられた「役」を演じているのである。この「役」を勘違いして、失敗する人は多い。「堂々とした社長」を周囲が期待しているのに、妙に若ぶったり、腰が低すぎたりすると失望を買う。
役であるから台詞(言語情報)は重要である。しかし演技にもっと大切な要素は動き、表情、声色、衣装などなど、台詞以外の非言語情報である。これは実生活でも同様で、「非言語コミュニケーション」は生活にもっと深く関わってくる。
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