デキる人が実践「自己演出力」を身につけるコツ 考え方1つで「人間関係」の悩みも解消される

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私は小さな大学に勤めており、3年ほど管理職という「役割」をやったことがある。根が自由業気質なので本来そんな役は似合わない。とはいえ、小さな職場の持ち回りだから仕方がない。

本業の1つに演出があり、「稽古場を仕切る」仕事もあるので、その感覚で「会議を仕切る」ことにした。若い時分に勤めていた大学で、副学長が下々の細かいことまで口を出す人だったので、「あれを真似してはいけない」とは自戒した。

もともと、私は演出をする時、こだわるところはこだわるが、演技の細かいことには基本的に口を出さない。大きな骨格は示して、それを逸脱しない範囲なら、比較的自由に俳優に自由に演じて貰う。

大学でも細かいことは気にしない、という基本方針を私は持った。いちいち動揺を表面に出すことなく、ニコニコしながら聞いている、というのが最善の策であると考えていた。

管理職も「役」にすぎない

これは「演出家という役割」と同じだな、と思った。会議の時間は議長という「役割」を演じることに徹すればよい。

「役」に徹する局面は徹する。管理職といえども「役」にすぎないのである。言葉を変えるとRPGの「R(ロール=役割)」にすぎないのである。

職場の仕事も、RPGの「R」と考えると、気持ちが軽くなるはずである。「そのロールの人は、こう振る舞い、こう話すのがベスト」と心得ていれば、仕事がRPGにもなってくる。特に会議などの時間には「役に入る」とよい。

ただし、もちろんRPGと仕事には違うところも多々ある。たとえばRPGをやるときは、基本的に目と手だけしか使わない(もちろん脳は使うが)。しかし、仕事は非言語情報全てに気を配らなくてはならない。言葉の抑揚、表情、アクション、衣服……。俳優が「演技」をするときに気を遣うのと同じことをやることになる。

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