認知症の問題は避けて通れない、介護を取り巻く厳しい現実【特集・認知症と生きる】
「目の前の認知症の本人は未来の私。そう考えて、10秒間だけ本人の立場になって考えてみる」。それが大切だと、木之下院長は語る。
介護する世代もいつか介護される立場に
確かに、高齢化の進展とともに認知症高齢者数はますます増加していく。現状ではすでに200万人、2040年には385万人になるとの推計もある。
介護は家族にとって大きな負担となり、転職、離職を余儀なくされることもある。認知症の場合、訪問押し売り契約などの経済被害も深刻だ。
施設で介護しようにも、比較的安い費用で入居できる特別養護老人ホーム(特養)は待機者が42万人。最近、急ピッチで設置が進んでいる認知症高齢者グループホームは小規模施設が多いため、在所者数ではまだまだ特養には及ばない。
自分が将来介護される立場になったとき、こうした介護を取り巻く厳しい現状はどうなっているのだろうか。介護する世代にとっても「明日はわが身」の問題なのだ。
認知症は、何も特別な病気ではない。冒頭で取り上げた後藤さんのように、前向きに生き抜くための環境作りをいかにしていくか。認知症対策は待ったなしだ。
(週刊東洋経済2010年4月10日号)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら