某ファミレス「人気ピザ」とチーズの裏側

日本人だけが喜んで「ニセモノチーズ」を食べている

戦後の貧しさを引きずった悲しきニセモノ食品

「ニセモノ食品」を食べつづけた結果、あたかもそれが本物だとみんな勘違いしているような食品もあります。たとえば片栗粉は「ニセモノ食品」「代替食品」だったものが全国的に当たり前になってしまったケースです。

白い袋に入って「片栗粉」と書いて売っていますが、裏の表示を見ると、「馬鈴薯デンプン」と書いてあります。これはジャガイモのデンプンなのです。

本来は、カタクリという植物から作ったものを「片栗粉」といいました。カタクリは高価で稀少なため、馬鈴薯デンプンを片栗粉といって売っているのです。これを日本人は全員がだまされて買っているのです。

馬鈴薯デンプンが悪いわけではありません。「片栗粉もどき」か「馬鈴薯デンプン」といって売れば済むことです。つまり、「がんもどき」にならえばいいと私は思うのです。

日本におけるニセモノ食品(代替食品)の先駆けは、がんもどきかもしれません。がんもどきは雁という鳥の肉が高級品で食べられないから、豆腐を揚げて、雁の肉に味を似せて作ったものです。

がんもどきはがんもどきで十分おいしいし、潔く「もどき」と名乗っている。それならば何の問題もないのです。

それをいかにも「本物風」に見せかけて売るから、消費者は知らずに食べて「こんなものか」と思ってしまう。「ニセモノ食品」を食べ続けた結果、どんどん日本人の舌がマヒしてしまっている、そんな気がしてなりません。

冒頭でも述べたように、「ニセモノ食品」がここまで外食にはびこっているのは、世界中でも日本だけです。なぜ日本だけが「ニセモノ食品」を作り、それを喜んで食べているのでしょうか?

実は「ニセモノ食品」は、戦後の貧しい時代の名残なのです。

食料のない時代、日本人は食べ物の切り落としでもクズでも大事に食べるために、一生懸命知恵を絞りました。

そうやって生まれた食品のひとつが「プレスハム」「チョップドハム」です。プレスハムは端肉、クズ肉を寄せ集めて、つなぎに「植物性タンパク」やデンプンなどを入れ、ギュッと圧力をかけて成型したものです。

肉が高級品だった時代、少ない肉に大豆の搾りかすやデンプンといった「安いもの」を探して混ぜて、一生懸命膨らませて食べようとした、いじましくも切ない日本人の知恵だったのです。

しかし食べられない時代の知恵だったはずのものが、今は外食産業が儲けるため、値段を下げるための悪知恵に「転用」されているのです。

なぜ「世界のトヨタ」を擁する日本が、「植物性タンパク」でカサ増ししたいじましいハンバーグを食べなければいけないのか、水と小麦粉で増量した「ニセモノチーズ」を食べなければいけないのか。つくづく情けなくなります。

食品業界だけ、「戦後」が終わっていないのです。

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