電子部品メーカー「売上急回復」と「株高」のなぜ 25日から決算発表本格化、注目の車載向け動向

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電子部品メーカーの株価が上昇している(撮影:尾形文繁)

新型コロナウイルスによってサプライチェーンが混乱し、一時落ち込んでいた大手電子部品メーカーの売り上げがここにきて急回復している。

日経平均株価が一時500円以上上昇した1月14日、村田製作所や日本電産、日東電工、ヒロセ電機など電子部品各社の株価も軒並み昨年来高値を更新。TDKや太陽誘電は1月下旬に入ってからも年初来高値を更新し続けている。

売り上げ回復と株高の背景の1つに、5Gの本格化や自動車の電動化と電装化が進み、電子部品の需要が伸びるとの期待がある。電子機器・部品企業でつくる電子情報技術産業協会(JEITA)によると、2021年の世界の電子機器の生産額見通しは、2020年比7%増の3兆1756億ドル(約330兆円)。初めて3兆ドルを超える。

昨夏以降に自動車市場が急回復

TDKの石黒成直社長は2020年12月、「5G普及でまさにIoT時代になることで、データのやりとりに必要な通信機器向け部品や(データを得るために使用する)センサーの需要はさらに高まる。電力の地産地消や再生可能エネルギーの利用のために電池(バッテリー)がより必要になる」と語った。

実際のところ、2020年10~11月に発表された電子部品各社の決算は、新型コロナが世界的に流行し始めた期初の想定よりも上振れた。積層セラミックコンデンサー(MLCC)で世界シェア首位の村田製作所の2020年4~9月期の売上高は7520億円(前年比1.2%減)、営業利益は1315億円(同8.3%増)だった。期初予想では売上高6810億円(同10.5%減)、営業利益970億円(同20.1%減)の減収減益だったが、同時に通期の業績予想を引き上げた。

想定よりも業績が回復したのは、2020年7月以降に車載向け部品の需要が急激に回復したためだ。2020年春以降、世界の自動車サプライチェーンが混乱して自動車の生産が滞ったほか、新車販売も落ち込み、村田製作所の2020年4~6月期の売上高は前年同期比8.6%減に落ち込んでいた。

だが、2020年夏以降は中国やアメリカを中心に自動車市場が回復した。村田製作所の中島規巨社長は2020年12月、「(車載向け部品は)期初に想定したよりも落ち込まなかった。自動車の自律走行機能の拡充が続き、(自動車1台あたりに採用される電子部品の)需要は高まっている」と指摘し、自動車の台数が落ちても部品需要は大きく落ち込まないと予測していた。

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