日本電産の新たな野望、電気自動車マーケットへ食い込む
「車載用モーターで必ず世界一になる。断トツのシェアをとる」。3月9日、日本電産の永守重信社長はアナリスト向け経営説明会で、車載用モーターの「覇者」となることを高らかに宣言した。
ハードディスク駆動装置(HDD)用モーターでは世界シェア75%と圧倒的な強みを持つが、ここへきて車載用事業を急ピッチで強化している。
ポーランド工場の増強を終えたほか、2011年稼働を見込み、中国・大連市に新工場と開発拠点を建設。車載用モーターの年間生産能力を現状比約5倍の3000万台に拡大する計画だ。
一方、昨年11月には滋賀県に車載用の技術開発センターを開設。将来的に中核事業へと育成する方針で、売上高も09年度推計500億円から12年度に3500億円と一気に引き上げる算段である。
現在、車載用の世界市場は年間2兆円規模とみられ、日本電産のシェアは5%にも満たない。国内勢ではアスモやミツバなど自動車メーカー系列色の濃い企業が、シェア上位を占める。だが、日本電産は自動車産業での変革をかつてないチャンスと見て、一気に攻め入る考えだ。
「電気自動車(EV)元年」。10年度の自動車市場はそう呼ばれている。昨年、三菱自動車や富士重工業がEVを量産化。日産自動車もEV「リーフ」を今年12月に国内で投入する。
環境意識の高まりを受けて、ハイブリッド車(HEV)も需要が急増中。野村総合研究所はEVやHEVなどのエコカーの世界販売が、20年に現状比10倍の約1300万台(年間)になると予測する。