カゴメの野菜飲料が在宅勤務の人に選ばれる訳 栄養摂取に加え、安心・手軽でも支持集める

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1933年から発売するトマトジュースはカゴメの代名詞だが、現在は野菜と果実をブレンドした「野菜生活100」(1995年発売)が同社の主力ブランドだ。子どもでも飲みやすい味で、ブランド全体の年間売上高は400億円を超え、会社の屋台骨を支える。

「家庭料理」で使われるケースも増えた

「大容量タイプが支持される背景には、他にもあります。家庭料理での応用です。

例えば『カゴメ トマトジュース』を温めてトマトスープにする。『野菜一日これ一本』を野菜の代替としてカレーのルーに入れるなど、メニューに使われる機会も増えました。巣ごもり生活で家庭での調理機会が増え、食事を用意する回数が多くなったことで野菜飲料の用途も拡大しています」(西田氏)

カゴメ飲料企画部長の西田裕美氏(写真:カゴメ)

昨年の外出自粛期間には「パスタとパスタソースの売り上げが伸びた」(別の大手小売業)とも聞いた。家庭でつくるパスタ料理は、他の料理に比べて準備が短時間でできる。カレーに野菜飲料を使うのも、野菜を準備することに比べると簡単で便利なのだろう。

「コロナ禍で在宅時間が増えた」のは追い風だったが、その追い風に乗れたのは、さまざまな提案や訴求を続けたからだ。

「例えば昨年1月より、野菜不足改善を目的とした『野菜をとろうキャンペーン』を展開しています。商品での訴求はもちろん、小売店の店頭、広告、メニュー提案、他社とのコラボ企画などを通じて、世の中の野菜摂取への関心を高める活動を行っています」

メニュー提案は、例えば同社の公式サイトでは「カゴメのレシピ」として訴求する。これには原材料のトマトを使ったメニューもあれば、季節を意識した恵方巻もあり、「調理時間が短い順」「カロリーが低い順」などの検索もできる。

メーカーの現場では、よく「消費者との接点を増やす」という言い方をするが、商品・店頭・情報発信などを多面展開しないと、新たな購買にはなかなか結びつかない。

カゴメ公式サイトで紹介された「さば缶トマトパッツア」(写真左)と「トマトとアボカドのハニーマスタード恵方巻」(写真:カゴメ)
次ページ「おいしさ」と「機能性価値」で訴求
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