東大卒プロポーカーが説く、データの使い方

ポーカープレーヤー 木原直哉氏のデータ分析論

「確率的に考える」と「論理的に考える」の違い

――プレーヤーの「実力」もデータからある程度は判断できるのでしょうか?

いえ、ポーカーの実力は、まったく数値化できないのです。たとえば野球だと、青木とイチローってどっちの実力が上なんですか?って答えられないですよね。ただ、高校生と比べたら、間違いなくイチローだと言えますよね。そうやってすごい差があったらわかる。それとすごく似ています。

木原直哉(きはら・なおや)
プロポーカー
北海道名寄市生まれ。2001年東京大学理科一類入学、2011年3月に10年かけて東京大学理学部地球惑星物理学科卒業。東京大学在学中には将棋部に所属しながら、バックギャモンのプレーヤーとしても活動。その後プロのポーカー選手となり、同年の世界ポーカー選手権大会 で「ノー・リミット・ホールデム」に初参戦し入賞。2012年の第42回世界ポーカー選手権大会 (2012 World Series of Poker) で参加したトーナメントナンバー34、「ポット・リミット・オマハ・シックス・ハンデッド」で、日本人選手としては初めて世界選手権優勝を果たした。

強い人は弱い人相手にはどういうスタイルで戦っても長期的にみれば利益が出ます。しかし、本当にトップ同士だと、バランスが崩れるとそこでけっこうやられますね。難しいのは、適正なバランスがどこにあるかはプロでもわからないですね。

最初の2枚の手札は1326通りあります(52枚×51枚÷2=1326通り)。100万回やったとしても、ひとつのハンドは800回くらいしかプレーできないし、9人の組み合わせだとものすごい数がある。どこまでいっても人間がやれる範囲ではわからないので、どれがいいバランスなのかはわからない。ある程度で見積もってプレーするしかないのです。

――「実力」を高めるためにデータで考えることは、どれくらい重要ですか?

前提として、その場でいちばん強い手を確率的に見積もることは、全然、難しくありません。組み合わせの数は多くないですから。たとえば共通カードに12345があったら、6を持ってたら6highストレートだし、67持ってたら7highストレート、これがいちばん強い手ですね。

それをわかったうえで、ポーカーって実は確率の計算よりも、論理的に考える力のほうが大事なんですよね。確率的に考えることと論理的に考えることって、重なっているけど違いますよね。

たとえば、共通カードが12345のときに、6を1枚持っていればほとんど負けない。自分よりも強い手札は67しかないですが、それは1326通りのうちでは16通り。ただし、初めの手札が絵柄の違う67で参加する人はほとんどいませんので、可能性があるのは絵柄まで一緒の4通りだけ。その4通りのうち、参加率が20%くらいの人なら、参加するかもしれないし、しないかもしれない、そうすると4通りのうち4割の1.6通りくらいの見積もりかなと。そうやって考えたりします。

できないと絶対にダメなのは、論理的に考えることですね。確率的な思考は苦手でも、感覚的にざっくりはある程度わかります。初めの2枚の手札だけの時点で降りていないことは、どういう組み合わせが可能性としてあるのか? 相手はそのときにどういう判断をするタイプか? といったことを積み重ねて考えます。そのときの素材として、確率やデータが生きます。

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