東大卒プロポーカーが説く、データの使い方

ポーカープレーヤー 木原直哉氏のデータ分析論

どこでおカネをかけ、どこで撤退するか

――ビジネスとポーカーは似ていると思いますか?

似ているところは多いと思います。基本的には、自分の情報は自分しか持っていないし、相手の情報を知れば有利になりますよね。あと、自分の持っている何らかの武器を使って利益を得ようとしたら、そのアクションは絶対に外から見える。そこからライバル会社にどういう武器を持っているのかバレますが、最後まで隠していては利益にならないからしょうがない。そのせめぎ合いが面白いところ。

ポーカーもすごく似たようなところがあります。ただし、ポーカーでは本物とブラフで同じようにアクションを取ることも大切です。そうすることで自分の強い手の情報を隠す。木を隠すなら森みたいな。ビジネスだと一つひとつのブラフの代償が大きすぎるので、あんまりやれなそうですよね。

以前、知り合いが「ビジネスは無理だと思ったら別のところで自分のルールを作ればいいが、ポーカーはそのルールの中でしかできないのは大変だ」と言っていました。そこは性質として、全然、違いますよね。ポーカーではルールは作れないので。

――ポーカーで培った考え方は、ビジネスでどのように生きそうですか?

何か判断をするときに、今までこうしてきたからという過去の経緯は参考にはなりますが、その判断自体は「線」ではなくて局面ごとの「点」に置かなければならない。これはポーカーでもビジネスでも大事だと思います。サンクコストという言葉は実は半年前に知ったのですが、それはポーカーでは当たり前の話なんですよね。もちろん、感情的になって今までおカネ出してきたんだし、と判断がブレてしまうプレーヤーも少なくないですが。

ポーカーはどこでおカネをかけるのか、どこで撤退するとかの判断を下し続けるゲーム。それも5秒とかの短い時間で。一つひとつの判断の質を高めるのに、いろいろな要素がかかわっています。すべての情報が見えるのであれば、極めてデジタルに期待値を計算できます。しかし相手の情報が隠れている以上は、データを確率的に見積もって、見積もりに対して自分がどうアクションを取るのが最適なのか、を論理的に考えるしかない。すべてを知るのは不可能だとわかりつつ、極力可能なようにアプローチして行くというゲームです。相手の情報が見えないので、数値化できないことが多い。単純にそこに行き着くのではないかと思います。

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