サノフィ研究所がワクチンを市場に投入できるのは2021年の末だとしています。実に他国の大手製薬会社から1年遅れです。古典的な方法を採用しているため、開発により時間がかかっているのです。
フランスによるこの「失敗」は、この国が抱える大きな問題と直結しています。つまり、サイエンス分野への資金援助が乏しいということです。こうした理由から、フランスの優秀な研究者の多くは、大きな研究を行うためにはアメリカなどへ渡らなければならなかったのです。
一部の国はロシア産ワクチンの「スプートニクV」のように、独自ワクチンを使った独自の接種キャンペーンを開始しています。中国産ワクチンのシノバックはインドネシア、トルコ、ブラジルが購入していますが、その有効性は50%程度しかないとされています。
いずれにしても、誰もがこれほどまでに迅速に開発され、大量生産されたワクチンはこれまでにないと認めています。これはまさに偉業です。
ギリシャが望む「ワクチンパスポート」とは
さて、各国でワクチン接種が進む中で、「ワクチンパスポート」の発行を望む人も増えてきています。ワクチンを接種した人が、旅行したり、外出したり、イベントに参加したり、レストランを訪れたりできるようにするものです。
観光客が戻ってくることを期待するギリシャは、このパスポートをできる限り早く導入したいと望んでいます。もちろん、倫理面で論議を呼ぶ可能性はあります。しかし、(あらゆるカテゴリーの)すべての希望者がワクチンを接種することが可能となり、接種していない人々が接種を自ら決断したのであれば、パスポートの発行も公正な自由選択に基づいたものであると見なされるかもしれません。
もちろん、ワクチンの長期的な副作用は未知数であり、人によってワクチンに対する考え方が違うのは当たり前です。ワクチン接種した人の感染力が弱まるわけでもないので、引き続き感染対策は必要になるでしょう。
一方でワクチンは個人のことであると同時に、市民の1人、国民の1人、あるいは世界に暮らす人の1人として自治体や国、世界に対して何ができるか、ということでもある気がします。ワクチンを受けることですぐに日常が戻ってくるわけではありませんが、接種することで1日も早く日常を取り戻せる、と希望を持つことができるのです。
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