バイデン1/20就任演説で外せない7大ポイント 危機的なアメリカをどう一致団結させるのか

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⑦セルフブランディング(ポジショニング)

トランプ大統領は、大統領就任演説で自らを「強くて×本音」の大統領というセルフブランディングにポジショニングしました。ヒラリー・クリントン大統領候補との選挙戦に挑むに際し「強さ」が求められ、オバマ政権下の「ポリティカル・コレクトネス」で白人中間層が過ごしにくい社会となった中では「本音で生きられること」が支持者からは求められました。

それに対して、バイデン新大統領は、就任演説で自らを「正義をもって×よりよい復興を実現(Build Back Better)」にポジショニングすることが予想されます。「正義」については、価値観で言及したとおりです。「よりよい復興を実現」には、選挙戦中は「トランプ大統領を信任しない」「不信任である」という想いが込められていましたが、就任演説では先に挙げた「4つの歴史的危機」に対する重点政策においてよりよい復興を実行していくという強い決意を示してくるのではないかと予想されます。

大統領就任式前後に過激な行動があるかも

冒頭でも紹介した議会3誌の1つである『THE HILL』では、1月12日付のトップニュースとして、「恐ろしく、身も凍えるような安全保障への脅威について説明を受ける国会議員達」というタイトルの記事を掲載しました。反トランプの支持者の一部が20日の大統領就任式前後に過激な行動を起こす可能性があることを伝えるニュースでした。

筆者は、4年前のトランプ大統領就任演説分析の記事で取り上げた、同演説内の超絶暗い世界観である「アメリカの殺戮」という表現、そして上記の議会誌記事で使われた「恐ろしく、身も凍えるような安全保障への脅威」という表現が、結局はトランプ大統領の4年間の任期の最後を表象するようなものになったような気がしてなりませんでした。

南北戦争にも匹敵するような分断に対峙していくためには、次期大統領には、もちろんただ単に就任演説で何を言うかよりは、それを受けて実際に何を実行していけるかが問われることは言うまでもありません。本当に簡単ではない、大変なタスクであると思います。それでも、世界最大最強で最も影響力の大きい国家の大統領となるバイデン氏には、アメリカのために、そして世界のために、正義感をもってよりよい復興を実行していくことが求められているのです。

田中 道昭 立教大学ビジネススクール教授

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たなか みちあき / Michiaki Tanaka

シカゴ大学経営大学院MBA。専門は企業戦略&マーケティング戦略およびミッション・マネジメント&リーダーシップ。三菱東京UFJ銀行投資銀行部門調査役、シティバンク資産証券部トランザクター(バイスプレジデント)などを経て、現在は株式会社マージングポイント代表取締役社長。主な著書に『「ミッション」は武器になる』(NHK出版新書)、『アマゾンが描く2022年の世界』(PHPビジネス新書)、『GAFA×BATH 米中メガテック企業の競争戦略』(日本経済新聞出版社)など。

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