「バイデン政権」で警戒すべき経済リスクとは 白井元日銀審議委員が挙げる4つの注目点
気候変動対策がシェール産業へ打撃
白井氏は、バイデン氏の公約した政策がある程度実現した場合に金融市場や経済に与えるリスクに関し、主に4つの注目点を挙げる。
第1には、バイデン氏が目玉の政策に掲げる気候変動対策が、アメリカのシェール産業や世界の石油価格に与えるリスクだ。
バイデン氏は2050年までに国内の温暖化ガス排出を実質ゼロにすると公約している。と同時に、2035年までに電力部門の温暖化ガス排出を実質ゼロにすると言っている。この点について白井氏は、「アメリカのエネルギー部門が出す温暖化ガス排出量の約半分は石油、3割が天然ガス由来であり、シェール産業に直結する話だ」と指摘する。
アメリカは2010年代に入ってシェールオイル生産を急増させ、世界最大の産油国となった。「アメリカ政府は石油・ガス採掘費用の税控除などの“補助金”を投じたり、連邦政府が持つ(採掘用の)土地をリースしたりしてシェール産業を支援してきた。だが、バイデン氏はこうした補助金をやめ、連邦政府の土地での採掘も禁止しようとしており、実行されれば同産業への影響は非常に大きい。雇用や地方税収の問題にもなる」。
政府支援がなくなればシェールオイルの生産が激減する可能性が高い。「需要がどうシフトするかやOPEC(石油輸出国機構)、ロシアの出方にもよるが、世界最大の産油国であるアメリカが石油生産を減らすことは、石油価格に大きなインパクトを与える。少なくとも乱高下しやすい不安定な状況となりそうだ」。
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