バイデン新大統領が政権人事に着手すると、政治評論家の間には、結局“古株”頼みか、というネガティブな見方が広がった。だが、バイデン氏は「経験」が成功のカギとみて、あえてベテランの起用に懸けたのである。
多様性をこれでもかと強調する人事には、適材適所より「初」の称号を重視したかに見える場面もなかったわけではない。バイデン政権は「初の女性」「初の黒人」というように「初」のオンパレードだ。とはいえ、全体として見れば、その人選は能力と経験を重視したものとなっている。
例えば、大統領首席補佐官に起用したクレイン氏は、バイデン氏に匹敵する超ベテランだ。オバマ政権で副大統領だったバイデン氏の首席補佐官を務めただけでなく、クリントン政権でもゴア副大統領の首席補佐官を務めた経歴を持つ。
大統領執務室にフレッシュな顔ぶれをそろえれば、世の中的には確かに盛り上がるだろう。これは歴史の真実だ。だが、そこには危険が伴う。政治経験の比較的浅かったケネディ大統領は、その見栄え、カリスマ性、巧みな話術で多くの人々をとりこにしたが、就任わずか3カ月にしてカストロ政権転覆を狙ったキューバ侵攻作戦に失敗するという大失態を演じた。
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