米連邦議会議事堂の襲撃を扇動したトランプ氏は囂々(ごうごう)たる非難を浴びながら政権を去った。この醜悪な事件がきっかけで強権政治家の立場が今後苦しくなると期待する声がリベラル派の間で広がるが、楽観的にすぎる。
「ポピュリストの波が世界をのみ込んでいる」と決まり文句のように言われるようになって久しい。しかし現実にはポピュリストの台頭と退潮はそこまで国際的に連動しているわけではない。実際、世界のポピュリストの間ではいざというときに連帯の動きが見られなかった。トランプ氏の“お友達”であるインドのモディ首相、イスラエルのネタニヤフ首相、果てはロシアのプーチン大統領までもが、バイデン氏が選挙で選ばれた米大統領であると最終的に認めた。
さらに重要なのはトランプ氏の特殊性だ。トランプ氏は悪目立ちしているものの、典型的なポピュリストではない。政権を握る右派ポピュリストは通常もっと慎重に行動する。法治主義の体裁を維持し、暴徒と直接関連づけられないようにするためだ。つまり、トランプ政権の終わりは、必ずしも他国のポピュリスト(および極右)の運命を暗示するものではない。
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