有料会員限定

バイデン政権に希望はあるか コロナ禍前から続く構造問題

✎ 1〜 ✎ 585 ✎ 586 ✎ 587 ✎ 最新
拡大
縮小

米国の政権交代と新型コロナワクチンの接種拡大を見込んで、景気は2021年に回復するとの楽観論が強まっている。だが、これはお門違いというものだ。コロナ禍が想定を上回って長引くおそれがあるからだけではない。真の問題は、コロナ禍前から米経済が壊れていることにある。

確かにコロナ禍前の失業率は3.6%と歴史的な水準に下がっていたし、株価も高値を更新し続けていた。しかし、その一方では、高い収入と出世につながる「まともな雇用」が激しく枯渇するようになっていた。

まともな雇用は、1950〜70年代に経済の活力源となっていたものだ。これにより中間層が育ち、富が広く行き渡り、社会の一体感が高まった。さらに重要なのは、所得増の恩恵が大卒だけでなく、高卒以下の人々にも同じように広がったことだ。

ところが80年代になると、状況は一変した。労働力需要の成長は鈍化し始め、2000年以降は基本的に低迷が続いている。学歴による格差も巨大化し、高卒以下では実質賃金が急激に低下した。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内