米国の政権交代と新型コロナワクチンの接種拡大を見込んで、景気は2021年に回復するとの楽観論が強まっている。だが、これはお門違いというものだ。コロナ禍が想定を上回って長引くおそれがあるからだけではない。真の問題は、コロナ禍前から米経済が壊れていることにある。
確かにコロナ禍前の失業率は3.6%と歴史的な水準に下がっていたし、株価も高値を更新し続けていた。しかし、その一方では、高い収入と出世につながる「まともな雇用」が激しく枯渇するようになっていた。
まともな雇用は、1950〜70年代に経済の活力源となっていたものだ。これにより中間層が育ち、富が広く行き渡り、社会の一体感が高まった。さらに重要なのは、所得増の恩恵が大卒だけでなく、高卒以下の人々にも同じように広がったことだ。
ところが80年代になると、状況は一変した。労働力需要の成長は鈍化し始め、2000年以降は基本的に低迷が続いている。学歴による格差も巨大化し、高卒以下では実質賃金が急激に低下した。
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