ブラジル、ロシア、インド、中国の経済的な潜在力を表現しようと、筆者が「BRICs」という言葉を作り出してから今年で20周年を迎える。だが、その真意は正しく理解されてきたとはいいがたい。2001年11月に発表したペーパーの論旨は、これらの国々の永続的な成長を予想するものでも、投資ファンド向けに目新しい営業コンセプトを提示するものでもなかった。その中心的な議論は、これら4カ国の経済的な存在感の高まりがいずれ国際的な統治枠組みに重大な影響をもたらすようになるという点にあった。
01年は欧州統一通貨ユーロ誕生から3年目に当たっていた。そうした時代背景から、筆者は次のように論じた。欧州の大国、すなわち仏独伊は、主要7カ国(G7)首脳会議、国際通貨基金(IMF)、世界銀行といった国際枠組みに個別にではなくグループとして参加し、新興国が加われる余地を生み出すべきである、と。
国内総生産(GDP)でBRICsが世界に占める割合は00〜10年に筆者の予測を上回って拡大した。ところが国際的な統治枠組みはといえば、08年に世界金融危機が勃発するまで目立った改革はほとんど何もなされてこなかった。この金融危機を受けて主要20カ国・地域(G20)首脳会合が開始され、IMFと世界銀行でも多少の改革が行われたとはいえ、国際的な統治枠組みはそれ以降、ほとんど何の前進も見ていない。恐るべきパンデミックに直面しても、改革への動きが出てこないのだ。
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