すでに多くの報道があるとおり、世界では日本とは桁違いの流行が起こっている。人口当たりの累積陽性者数でみると、日本はアメリカの30分の1程度、イギリス・フランスと比べると20分の1程度である。
「医療逼迫」「医療崩壊」という言葉は、これまで日本のメディアでたびたび取り上げられてきたが、12月に1日の新規陽性者数が全国で3000人を超えたあたりから、再び頻繁に使われるようになった気がする。しかし、それでも欧米の流行状況と比べればはるかにマシだ。
実際、その国の全部の病院のベッド数に対する直近のコロナ入院の割合をみると、コロナが日本の医療に与えている影響は、欧米よりもずっと小さい。
日本の病床におけるコロナの占有率はわずか0.7%
アメリカやイギリスは病院のベッドの14~16%程度がコロナによって埋められているのに対し、日本は1.7%である。しかも、ここでの計算は病床数としてOECDのHealth dataを基に筆者が行ったものだが、日本の病床数だけは病床機能報告を基に急性期および高度急性期のみを対象とした。もし、文字どおりの日本の全病床を分母に取れば、日本の病床に対するコロナの占有率は0.7%まで下がる。
日本の病床数は160万床と、世界でも有数だが(OECD加盟国で日本よりも人口当たりの病床数が多いのはオーストラリアだけ)、圧倒的に多くの病院にとって、コロナの入院は直接関係のない話なのである。
実は大多数の日本の医療機関は、コロナが理由での入院を引き受けていない。それどころか、少しでもその可能性がある症例さえも拒否している。それにもかかわらず、日本は陽性者を入院させることを基本とする政策を取ってきた。
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