起こるはずのない「医療崩壊」日本で起きる真因 各種データから読み解く「問題の真相」

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160万の全病床はおろか、急性期・高度急性期を名乗る70万弱の病床のうち、ほんの一部しかコロナを受け入れる用意がない。

現段階での確保病床をすべて足し合わせても急性期・高度急性期病院の4%にすぎない。これでは、これからさらに増えることが確実な患者を受けきれないことは誰の目にも明らかだ。コロナの入院を引き受ける病床を増やすしかない。

ではどこで増やすか。以前から引き受けている医療機関でこれ以上の病床を上積みするのはかなり困難だ。たとえベッドがあっても、医師・看護師の人員が追い付かない。通常診療への影響もすでにかなり受けている。

コロナ病床確保が進まない原因

答えは1つしかない。コロナでむしろ暇になっている医療機関のベッドである。日本医師会病院団体が行った調査を見れば、コロナの流行が始まってから患者の受診控えが起こっていることは明らかである。菅首相も「コロナをやっていないところには、お客が来ない」という趣旨の発言をしているとおりである。

また、お客が来ないだけでなく、医療機関の側で拒否しているという要素もある。いまだに発熱患者や呼吸器症状があるというだけで診療を拒否する医療機関は少なくない。また、コロナ診療の現場では転院先を探す際に問題となるのだが、すでに治癒した元コロナ患者の診療さえも拒否するというとんでもない医療機関もある。

コロナを受け入れる病床の確保が進まないことに関して、行政の責任を問う声がある。しかし、医療提供体制の基本法である医療法には、行政の命令権限が書かれておらず、行政ができることは基本的に「要請」しかない。公立・公的病院には行政が指示する法的根拠もあるが、医療法の枠の中では民間病院には「任意の協力に基づく」行政指導(という名のお願い)しかできない。

なぜこのような法律の建て付けになっているのかを想像すると、それは恐らく医療者のプロフェッショナリズムに対する信頼ゆえであろうと思う。いざというときには、法律などなくとも、医療者の倫理に基づいて社会的責任を果たすに違いないという信頼である。実際にそのような態度で初期の段階からコロナを受け入れた医療機関はあった。ただ、そうした医療機関の数はこの未曽有の危機を乗り切るのに十分ではなかったと言わざるをえない。

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