年収1000万円を捨てた元局アナの意外な転身先 収入激減でも未知の世界に飛び込んだ理由

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こんなことをいうと「平岩は退職時、さぞかし貯金があったのだろう」と思われるかもしれませんが、まったく逆です。会社を設立するのに必要だったお金を払ったら、手元にはほとんど残っていませんでした。けれど、なんとかやっていけるので一歩踏み出して良かったと思っています。

会社設立にあたっていろいろと事業計画を練りましたが、最初から達成が見込めそうな売り上げは、正直、100万円ほどしかありませんでした。借金こそしなくて済んだものの、収入はアナウンサー時代の10分の1、いや、諸経費も考えるとそれ以下に激減することが目に見えていました。ですから、とことん固定費をかけないスタートを目指しました。

祖母の家の余った部屋を住居兼オフィスに

オフィスを構えたのは東京都大田区の一軒家。「なんだ、お金かけてるじゃないか」と感じるかもしれませんが、実はその家、もともと祖母の家なんです。部屋が余っていたので、そこを住居兼オフィスにしました。

起業のスタートは歳が50以上も離れた祖母との同居から始まりましたが、これなら家賃も駐車場代もタダで済みます。起業といっても社員は僕ひとり。僕が仕事を受けて、現場に行って、仕事をして帰ってくるだけなので、人件費もかかりません。同じ起業でも、何かモノをつくって売る仕事だったらある程度の元手がなければ始まりませんが、僕の場合は、極端にいえば身ひとつでスタートできる業態だったことも幸いでした。

また、これは後になって実感したことですが、「おばあちゃんの家で会社を始めたんですよ」なんて話をすると、思いのほか好印象なのです。余分なところにお金をかけない、家族思いで堅実な人柄と思われたのかもしれません。

それにしても年収1000万円だった当時の僕は、いったい何にお金を使っていたのでしょう? 思い出せる使い道といえば、月々の家賃と飲食費、ゲーム代くらい。好きなクルマだけは、入社5年目にして思い切って高級な外車を買いましたが、それ以外は高級腕時計もブランド物のスーツも、ほとんど買った記憶がありません。

よく「年収1000万円の社員と650万円の社員では、手取り額はそんなに変わらない」といいます。あるラインを超えると所得税がグンと上がるからですが、もちろん当時の僕はそんなことを意識していませんでした。先々のことも考えず、あるだけ使っていたのでしょう。今思えば自分の管理能力の低さに愕然とします(笑)。

次ページほぼ無収入でも悲観的な気持ちはなかった
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事