「酒飲むと太る」という人に教えたい医学的知識 ビール腹の原因はアルコールではなかった

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飲酒習慣がある人が太りやすいのは、お酒そのものよりも、むしろ一緒にとる食事のほうに原因があります。

お酒を飲むと、アルコールを分解してできたエネルギーを優先的に使いやすいということは、その分、体内に蓄積されている脂肪や食事で摂った糖質がエネルギー源として使われるのが後回しになるということです。

それなのにフライドポテトやポテトサラダ、練り物、ピザ、ごはんもの、焼きそば、ラーメンといった糖質の多いメニューを食べれば、そのまま蓄えてしまいやすい。つまり「ビール腹」というよりも、正体は「ポテト腹」や「〆のラーメン腹」なのです。

糖質の少ないおつまみを選ぶ

なおかつ、アルコールは肝臓での中性脂肪の合成を促進するという報告もあります。肝臓でアルコールの分解が進むと、それに伴い、中性脂肪の合成が必要以上に高まってしまうのです。

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しかも、アルコールは食欲を高める効果もあります。飲んでいると、つい、つまみをどんどん頼みたくなってしまいませんか。お酒を飲むときには、「脂肪として蓄えられやすい」ことを心して、糖質の少ないメニューを選びましょう。

こういうときこそ、タンパク質である肉・魚、そして豆とともに、糖の吸収を抑える働きをする水溶性食物繊維が味方になります。水溶性食物繊維が豊富なのは、ネバネバ系の野菜や海藻、大豆、ゴボウなどです。

ビールのお供によく食べる枝豆も、大豆を未成熟な状態で収穫したものなので、大豆ほどではないとはいえ、タンパク質とともに水溶性食物繊維も含まれています。そういう意味でも、枝豆はビールのよき相棒なのです。

池谷 敏郎 医学博士/池谷医院院長

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いけたに としろう / Toshiro Iketani

1962年、東京都生まれ。医療法人社団池谷医院院長。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。1997年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとして、数々のテレビ出演、雑誌・新聞への寄稿、講演など多方面で活躍中。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。著書に『体内の「炎症」を抑えると、病気にならない!』(三笠書房)、『「血管を鍛える」と超健康になる!』『血管の名医が教える15歳若返る習慣』(ともに知的生きかた文庫)などがある。

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