「酒飲むと太る」という人に教えたい医学的知識 ビール腹の原因はアルコールではなかった

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そもそも私たちの体には、ちゃんとストックがあるはずなのです。

例えるならば、「トイレに入るときにトイレットペーパーをもって入ったほうがいいよ」と言っているのと同じようなものです。トイレでトイレットペーパーは必要だけれど、基本的にトイレには十分に備わっていますよね。持参して入ったところで、トイレットペーパーを2倍使えばトイレで用を足すのが2倍に速くなるわけでもありません(笑)。

同じように栄養素も、何かの代謝に必要だからといって、必ずしも一緒に摂ったほうがいいとは限りません。また、一緒に摂ったからといって、その代謝が高まるかというと、話は別なのです。

一方で、ビタミンB1は玉ねぎやニンニク、ニラなどと一緒に食べると吸収が良くなると言われます。玉ねぎ、ニンニク、ニラに共通して含まれるアリシンという成分とビタミンB1が結合すると体内への吸収率が高くなるからです。この場合は、吸収の現場で必要なので、一緒に摂ると有効です。

何かの吸収に有用だから一緒に摂るという話と、体内での代謝に必要だから一緒に摂るという話は別です。それを混同して、医学的なエビデンスはないものまで、「○○には△△という栄養素が使われるので、一緒に摂ったほうがいい」と言われていることが多いように感じます。

アルコールの代謝は起きているほうが高まる

そもそも、アルコールを解毒する肝臓の代謝はコントロールできるものでもないように感じます。必要なときに必要な分だけ働く臓器なので、「これを食べれば肝臓の代謝が高まる」というものはないでしょう。

肝臓の専門家のなかには、「肝機能を高めるにはタンパク質がいい」とおっしゃる方もいますが、飲酒前後でタンパク質を摂ることでアルコールの分解が早くなったという有力なデータは、今のところ見当たりません。

もうひとつ付け加えるなら、アルコールの代謝は起きているほうが高まります。睡眠中は、アルコールの分解能力が下がるのです。早く酔いを醒ましたいと思ったら、眠らずに、起きているほうが賢明です。あるいは、起きていられないほど深酒をしてはいけない、とも言えますね。

寝る前の1杯もおすすめできません。アルコールは睡眠の質を悪くするからです。アルコールが分解されてアセトアルデヒドができると、交感神経が緊張し、目が覚めやすくなります。お酒を飲んでそのまま寝たら、深夜に何度も目が覚めたという経験はありませんか。

「眠れないから」といってお酒の力を借りて眠りに就こうとする人もいますが、アルコールによってもたらされる睡眠は、生理的な眠りとは異なるものであると言われています。寝酒は薬にはなりません。

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