40代独身。いつまで働けばいいの? 迫る妊娠リミット、50歳の就活……
地元の大学を卒業して上京し、これまで派遣や契約社員を経て、4年前に正社員になった横田真由美さん(40歳、仮名)は、午前8時半から午後11時ごろまで働いている。週に2日ある休みも1日は出勤することが多い。
もう正社員になる機会はないだろうと思っていたので、入社のときはとても嬉しかった。しかし正社員は責任も重く、入社当初より仕事量は2倍以上に増え、サービス残業も多い。
「性格上、突き詰めてやるほうなので、疲れ切って家に帰ると“何やっているんだろう”と思います」
30代半ば過ぎまでは、公私ともに充実した日々だった。仕事も楽しく、同じ境遇の仲間たちとよく遊びに出かけた。当時は恋人もいたが、相手には妻がいて結婚できなかった。それでもいいと思って交際していたが、入社を機にピリオドを打った。
迫る妊娠リミット
若い頃、漠然と「結婚して子どももいるだろう」と考えていた年齢になった。一緒に遊んでいた友人たちは結婚し、横田さんと数人が残った。スーパーで買い物をするとき、大好きなアーティストのコンサートに行くときに「独りの寂しさ」を感じる。
会社では、子どものいる社員は時短もあり、残業も“子どもがいるので”と一区切りをつけてさっさと帰宅していく。
「そんな姿を見ていると、いいなあと思います。今は猛烈に結婚したい。自分の精神の安定を得るためにも、東北にいる母親を安心させるためにも──。そうなるとせっかくなった正社員ですが、働き方を変えなければいけなくなりますね」
妊娠リミットも迫った現在、今年中に相手を見つけて来年は結婚、妊娠する計画だというが、「こんな状態だと婚活イベントにも参加できません」と横田さんは笑った。
「すみません、仕事が終わらなくて」と、待ち合わせ場所に小走りで現れた小川洋子さん(45歳、仮名)。4月に国際協力関係の会社で期限付き職員として働きだしたばかりとあって、仕事を覚えるのに必死で、午後6時の定時での退社はほとんどできない。
小川さんは大学卒業後、総合職で大手旅行会社に就職。9年働いた後に、菓子職人になると決意して会社を辞めた。しばらくは専門学校に通い、料理教室で講師をしていたが賃金の安さなど待遇面で満足できなかった。以前のように海外とつながる会社がいいと転職を考えた。
ところが、折からの就職氷河期で正社員になるのは難しかった。実家を出ての一人暮らし。生活していくためにやむを得ず、派遣、契約社員と渡り歩いた。努力家の小川さんは、与えられた場所でそれなりに仕事をしてきたが、雇用には期限がある。そのたびに新たに就活をしなければならなかった。現在の職場に決まるまでの就活は約半年を要し、5社ほど落ちたという。