感染爆発の先に待つコロナ不況「最悪シナリオ」 今の苦境を予測した男が読む日本経済のリスク

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『日本経済予言の書』について、これから先の話を続けます。書籍に記したように「大半の人類にとってコロナショックは生死のリスク以上に経済のリスクだ」という認識は2021年に入っても変わりません。そしてまだ実現していない予想として「経済についての最大リスクは2021年のオリンピック中止リスク」という要素がまだ残っています。

多くの読者のみなさんは漠然と「いやいやもうオリンピックはいくらなんでも無理だろう」とお考えかもしれません。現実的にはそうなのかもしれませんが、その経済面での打撃はまだ織り込み済みではありません。オリンピックが正式に中止となれば、相応の経済の反動を覚悟しなければいけません

デジタル化で収益構造そのものが変わる業種も

そして最後にもうひとつ、考えておかなければならない予言要素は「コロナを機に日本でもDX(デジタルトランスフォーメーション)が大きく進む」ことです。

『日本経済 予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』(PHPビジネス新書)。2020年6月発売。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

これはイノベーションによる産業の健全な新陳代謝だということでもあるのですが、DXによるパラダイムの転換でコロナ後も永遠に需要が戻らない企業や業界が出るという負の要素が存在します。

一例を挙げればリモートワークが浸透すれば、オフィス需要や出張によるビジネスホテル需要の将来予測を大きく変更する必要が出てくる可能性がある。そういったことをこれから先、未来シナリオとして織り込んでいく必要がありそうです。

ここまでの話が2021年初段階での『日本経済予言の書』の予言のアップデートです。実際はこの後、緊急事態宣言にともなって日本政府がどのような対策を打ち出していくのかによって、また未来の前提が変わっていきそうです。このあたりを注視したうえで、今年も未来予測の専門家としてより正しくタイムリーな未来予測をみなさんに提供していきたいと思っています。

鈴木 貴博 経済評論家、百年コンサルティング代表

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すずき たかひろ / Takahiro Suzuki

東京大学工学部物理工学科卒。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)を経て2003年に独立。人材企業やIT企業の戦略コンサルティングの傍ら、経済評論家として活躍。人工知能が経済に与える影響についての論客としても知られる。著書に日本経済予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』(PHP)、『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』(講談社)、『戦略思考トレーニングシリーズ』(日経文庫)などがある。BS朝日『モノシリスト』準レギュラーなどテレビ出演も多い。オスカープロモーション所属。

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