「変化する生活様式」をプラスに変えるコツ 誰でも起こる「現状維持バイアス」を意識する

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ほかのことに関してもしかり、何事においても決めた後で、不安との戦いを繰り返してきました。ただ、そのときは苦しいのですが、そういうものなんだと受け入れて、「不安や心配は健全なこと」と前向きに捉え、不安だからやめよう(物理面や金銭面で、多大なリスクを伴うものは別です)と思わずに、とりあえず1歩踏み出してみることが大切かと思います。

始めてみると意外に簡単なことだったり、楽しくなってくるものです。やってみなければわからないことは多々あります。そのうえで、どうしても難しければ、やめればいいだけのことであって、それは失敗でもミスでもありません。そもそも、行動がすべて正解でうまくいくほうがまれです。

現状に不満はあるものの、リスクを冒してまで変えたくないと思っている方は、動かない理由を見つけようとすることにエネルギーを傾けがちですが、ズルズル現状維持を貫くよりは、ほんの少しの変化にトライしてみることも大切です。

もう1つ、行動を制限しているものは、情報量の多さです。心配や不安を抱えやすい人ほど、多くの情報を集めようとします。すると当たり前ですが、選択肢が多くなります。そうすると行動を制限に結び付けてしまう心理が働きます。これを選択回避の法則といい、選択肢が多すぎると、選ぶこと自体を拒絶する心理のことです。

選択肢が数種類だったら、比較検討も徹底的にできて、自分の中での優先順位がつけやすくなります。しかし、多岐にわたってくると、そもそもそれぞれのメリット・デメリットを把握するだけでも負担がかかり、比較検討する前に疲弊してしまうのです。

慎重な人ほど、詳細を調べたり、比較したりすることに重きを置くので、通常よりも多くの情報を手にしてしまいやすくなり、その結果、自分が納得できないなら行動しないほうがよいという結論に達しやすく、そもそもの行動にストップがかかります。

「気持ちのブロック」に気づくことが大切

このようにいくつかの足かせがあり、明らかに現状が悪くて、生活そのものに変化が必要なとき、現状を脱すればよくなるとわかっているときにも、無意識に変化を避け、現状を維持しようとしてしまうことがあります。

働き方であったり、生き方であったり変化を強いられることも多い昨今、より一層、現状維持に固執してしまう方向に気持ちが向くことが多いと思います。それゆえにどうにもならないところまで、追いつめられてしまいやすくなります。

やり方や行動様式を変えることは、心理的にも大きなハードルです。しかし、柔軟に変化すること自体がストレスの軽減になり、八方ふさがりを回避できることへもつながります。答えは1つではありません。さまざまなことに思いをめぐらせ、不安や心配にさいなまれるよりは、ほんの少し、変化を取り入れて行動に移してみることをお勧めします。

苦しいことをあえて続けていた自分に気づけるかもしれません。心身の健康のためにもまずは、気持ちのブロックに気づくことが大切です。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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