人手が全然足りない!「介護業界」の新たな知恵 短時間でも働けるマッチングサービスの実態

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今後の展開については、武藤社長は3つ挙げる。1つは、サービスエリアの拡大で、「2020年11月から名古屋でもサービスを開始した。今年は大阪でも開始する計画」だ。

2つ目は、スキマワーカーの施設でのパートや社員としての採用促進である。「カイスケでは、施設側が気に入ったワーカーにチェックを入れ、その人たちだけに仕事を依頼するようにもできる。さらに、その中にパートや社員にしたい人がいたら採用しましょうと施設に推奨している。今後もパートや社員につながるようなサービスを強化していく」(武藤社長)。

もう1つは、介護士だけでなく看護師の有資格者のマッチングサービスを「今年の夏までにスタートしたい」としている。

介護施設の登録数は少ない

プラスロボの鈴木社長とカイテクの武藤社長が挙げる課題点は共通している。ワーカーの登録者が比較的順調に増えているのに対し、介護施設の登録数が少ないことだ。

鈴木社長は「介護の即戦力を採用するには、お金はかかるが、人材紹介会社や派遣会社に丸投げするのが楽だと思っている事業者が多い。だから、スケッタ―のようにいろいろな人を受け入れて、施設のファンを増やしてパートや社員として採用するようにしましょうと言ってもピンとこない。それを理解してもらうためには、営業が必要だが、現状では人員が限られており営業力が弱い」と分析。

その対策として、プラスロボは業界トップのシステムメーカーであるDNソフトウェアの子会社である「日本ケアコミュニケーションズ」と、この1月にスケッターの代理店契約を結んだ。同社は3万の介護施設とのネットワークを有しており、そこにスケッタ―を案内してもらうという。

一方、カイスケの武藤社長は、介護施設の登録数が少ない要因とその対策を2つ挙げる。要因の1つは、介護業界全体として、ITに抵抗がある人がいることだ。「日々、介護事業所側の声を集め、プロダクトをより使いやすいものに高速でPDCAを回していく」(武藤社長)。

2つ目は、「信号機よりも多い介護事業所に情報が伝達するのに時間がかかる」こと。この点については、「業界団体、メディア、行政などさまざまな接点を持ち、情報の発信力を高めると同時に伝達スピードを上げていく」と武藤社長は語る。

コロナ禍でますます介護業界の人手不足は深刻化していく。マッチングサービスは、業界の長年の課題を解決する助けとなるか。

塚本 優 終活・葬送ジャーナリスト

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つかもと まさる / Masaru Tsukamoto

北海道出身。早稲田大学法学部卒業。時事通信社などを経て2007年、大手終活関連事業会社の鎌倉新書に入社。月刊誌の編集長を務める。2013年フリーライターとして独立。ライフエンディングステージの中で「介護・医療」と「葬儀・供養」分野を中心に取材・執筆している。ポータルサイト「シニアガイド」に「終活探訪記」を連載中。「週刊高齢者住宅新聞」などに定期寄稿。

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