プレミオ/アリオン終売、HV化という選択は? コロナ/カリーナから60年続く伝統セダン終幕

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左上がプレミオ、右上がアリオン。取り回しのいい5ナンバーサイズのボディや上質で落ち着いたデザインなど、あらゆる面でバランスのとれた日本の正統派セダンだ(写真:トヨタ自動車)

トヨタの「プレミオ」と「アリオン」が、2021年3月末をもって生産を終了すると正式に発表された。しかし、プレミオやアリオンと車名を聞いても、どのようなクルマなのか思い出せない読者も多いのではないか。年配であれば、元は「コロナ」と「カリーナ」だといえば、嗚呼と思い出すかもしれない。

コロナは、1957年(昭和32年)に登場した小型4ドアセダンである。その2年前に「トヨペット・クラウン」が誕生している。ちなみに「カローラ」が生まれたのは1966年だ。そういった意味でプレミオ/アリオンは、カローラよりも歴史が深く、コロナから数えて60年以上の伝統を持つトヨタの正統派セダンといえる。

初代コロナは、丸みを帯びた外観で、部品にクラウンのものを流用するところもあり、販売は思わしくなかったようだ。生まれて間もなかった時代とはいえ、その後も含め筆者も初代の記憶はほとんどない。2代目となってからのコロナの存在は明確に記憶にある。さらに3代目となって大ヒットした。親戚も買ったことを覚えている。

1964年に発売され、大ヒットを記録した3代目コロナ(写真:トヨタ自動車)

当時からコロナは、日産の「ダットサン」や、その後の「ブルーバード」の競合として、販売合戦を続けた。それぞれに浮き沈みはあったが、日本の小型車の中核として時代を牽引していった。拙宅にも、かつて5代目のコロナがあった。

そしてコロナは、80年代の8代目から前輪駆動(FWD)が採用される。1996年の11代目で「コロナプレミオ」という車名になった。2年前にホンダから「オデッセイ」が登場し、また5ナンバーの「ステップワゴン」も現れ、ミニバン人気に押されて4ドアセダンの存在が薄れはじめたころである。同時に、90年代のバブル経済崩壊のあとに開発された世代でもあり、原価低減が著しくなってもいた。

プリウスの原点はコロナプレミオ

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しかしながら、1997年に誕生するハイブリッド車「プリウス」は、コロナプレミオを基にシステムの走行実験を重ねていた。実際、トヨタの試験路で私は試乗した経験がある。小型車の燃費性能をガソリンエンジン車の2倍に引き上げるというプリウスの開発は、小型車の代表ともいえるコロナプレミオで進められてきたのである。

ボンネットフードを開け、中をのぞいたとき、ガソリンエンジン車のエンジンルームに、エンジンとモーターと制御装置が見事に納められ、完成度の高いことに驚かされたことは今も忘れがたく、まもなく初代プリウスが発売されるのである。

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