プレミオ/アリオン終売、HV化という選択は? コロナ/カリーナから60年続く伝統セダン終幕

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ここまではコロナを中心に振り返ってきたが、「カリーナ」は、1970年に初代が発売された。アクション俳優として知られた千葉真一を起用し、「足のいいやつ」という宣伝文句がカリーナの特徴を象徴していた。まさに、小型4ドアセダンでありながら、運転を楽しめる車種として誕生したのである。シャシーは、同じ年に登場した「セリカ」と共通だった。華麗な姿をしたセリカを選ぶか、走りに徹する硬派な印象のカリーナを選ぶか、クルマ仲間と論じたものだ。

しかし、単に走行性能の高い4ドアセダンというだけでは、その後の進化をさせにくかったのではないかと、今は振り返ることができる。なおかつ、カリーナもセリカやコロナと同様にFWDへ移行していくことで、一番の特徴であった走りのよさだけでなく、後輪駆動がもたらす壮快さも薄れ、存在意義を失っていくのである。

カリーナからアリオンへ姿を変える

2001年12月に登場した初代アリオン。写真は、2004年12月に実施されたマイナーチェンジ後のモデル(写真:トヨタ自動車)

やがてコロナとの差別化も難しくなり、カリーナはアリオンとして生き残った。実際、プレミオとアリオンは共通の技術や部品で存続し、別の車名である理由は、販売店系列の違いへの対応でしかなくなる。それも系列が廃止されることによって、意味をなさなくなってきたのだろう。それにしても、小型4ドアセダンとしてどちらかが生き残る道はなくはなかったのではないかと思う。しかし、最終的には両車とも廃止の決断が下された。

5ナンバーの4ドアセダンは、グローバルカーのカローラの存在で支えられてきた背景がある。なおかつカローラは、海外向けと国内向けとで作り分けが行われ、国内には5ナンバー車として存続し続けた。しかし、現行カローラへのモデルチェンジに際して、国内向けカローラもついに3ナンバー化したことにより、かつての上下関係が逆転し、プレミオ/アリオンのほうがカローラの格下となったのである。

ところで、これまでプレミオ/アリオンを試乗する際に常に思った疑問がある。なぜ、プレミオ/アリオンにハイブリッド車(HV)が設定されないのかという点だ。そもそも、プリウスの開発段階では、コロナプレミオの車体を利用して走行実験が行われてきたのである。そうした経緯がありながら、結局、プレミオ/アリオンのHVは誕生しなかった。

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