プレミオ/アリオン終売、HV化という選択は? コロナ/カリーナから60年続く伝統セダン終幕

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もし、プレミオ/アリオンにHVが加わるか、HV専用車にするなどしていれば、価値は存続したのではないかと思われる。しかし、トヨタはプリウスの販売増に力を注ぎ、プレミオ/アリオンはいわば放ったらかされた状態が続いた。

マイナーチェンジの機会に試乗すると、一見豪華なつくりとなって、上質さを覚えさせる5ナンバー車として、大衆車が出発点であったカローラとは違う趣を感じたものだ。これがもしHVであったら、自分でも選択肢のひとつになると思ったのである。現在、3代目のプリウスに乗っているが、私は本来4ドアセダンが好きで、4ドアセダンのHVが欲しかったからだ。なおかつ5ナンバー車であればいうことはない。

2016年に実施されたマイナーチェンジ後のプレミオ。アリオンも同時にマイナーチェンジが行われている。マイナーチェンジは2016年が最後になるので、販売終了が決定した今では最終型となる(写真:トヨタ自動車)

HV化でプレミオ/アリオンの存在価値はあった

3代目プリウスが発売されたあと、4ドアセダンのHVとして「SAI」が登場したが、3ナンバー車でなおかつプリウスより大きく、またHV専用として先進性を見せたかったのか、操作性が奇抜すぎて扱いにくかった。HVを世界に広め、環境に貢献するとトヨタが考えるなら、プレミオ/アリオンもHVとすべきだったと、今でも思う。

プリウスのハイブリッドシステム。プレミオ/アリオンに搭載し、存続する選択肢もあったはずだ(写真:トヨタ自動車)

なぜトヨタがそう判断しなかったのか。今日なお不明だ。結局、儲からない車種にはHVもやらないという程度の環境意識でしかないのではないかとさえ思ってしまう。そして、ついにプレミオ/アリオンは消えていく運命となった。コロナから60年にわたって続いたトヨタ伝統のセダンに終幕が訪れたのだ。

HVの4ドアセダンとしてはカローラがある。しかし今や3ナンバー車で車格が大きくなってしまった。コロナ誕生の少し前に生まれた世代として、永い歴史のある車種がHVの採用もされず、窓際に放置されたまま消えていく様に、悲哀を覚えざるをえない。トヨタとは、手をこまぬいたまま、プレミオ/アリオンをコロナ/カリーナ時代から愛用してきた人たちさえ思い出とともに置き去りにする自動車メーカーでもあるのだ。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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