語られない「コロナ嗅覚異常」本当のおそろしさ

一生回復しないことの影響はあまりに甚大だ

カリフォルニア州サンタマリアで保護観察官をしているエリック・レノルズさん(51)は4月、新型コロナに感染して嗅覚を失った。

現在は、存在しないはずの悪臭を感じることが多いという。ダイエット飲料は汚物のようなにおい、せっけんや洗濯用洗剤はよどんだ水かアンモニアのようなにおいがするそうだ。「皿洗いはできない。吐きそうになる」とレノルズさん。

「何を食べてもガソリンみたいな味やにおい」

バージニア・コモンウェルス大学嗅覚・味覚障害センターのメディカルディレクター、エヴァン・ライター教授によれば、レノルズさんのような患者が知覚のゆがみから食物嫌悪症を発症するのは珍しいことではない。ライター氏はこれまでに、嗅覚を失った2000人のコロナ患者の回復過程を追跡している。

同氏の患者の1人は回復途上にあるが、「何を食べても、ほとんどがガソリンみたいな味やにおいがすると話している」(ライター氏)。

嗅覚を失うと「サブタイプを含めた受容体の集団がそれぞれに違った影響を受ける可能性がある。そのせいで、例えばステーキを食べる際に脳がいつも受け取っていた信号がゆがめられ、脳は犬の糞だとか、何かとても不快なものを食べていると錯覚させられるのかもしれない」とライター氏は話す。

(執筆:Roni Caryn Rabin記者)
(C)2021 The New York Times News Services

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
  • トクを積む習慣
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • ネットで故人の声を聴け
  • 本当に強い大学
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
消える仕事、残る仕事<br>1億人の「職業地図」

コロナ、AI、脱炭素――。私たちの雇用を取り巻く環境が激変しています。今後、どんな職業を選ぶかは死活問題に。2030年に向け「消える仕事」「残る仕事」36業種、「会社員の価値」がわかる9職種を掲載。本特集が職業を改めて考える機会になれば幸いです。

東洋経済education×ICT